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大手かベンチャーか

スタートアップ新卒のリスク5つ、アーリー期ならではの注意点と準備

公開 この記事は約18分で読めます

スタートアップに新卒で入るリスクとは、資金・労務・教育体制が整わない段階の会社で働くことで生じる、仕事と生活への具体的な不利益のことです。倒産・給与遅延・制度未整備・事業ピボット・キャリア形成の5つを公的データと公開情報で整理し、入社前に確認すべき観点をまとめます。

先に結論

  • 対象読者は、スタートアップ(創業数年以内のアーリー期の会社)を新卒1社目として検討している大学生・大学院生です。「ベンチャー」全般ではなく、資金調達シリーズA前後までの段階の会社に絞って見ます
  • スタートアップに新卒で入るリスクは、①事業停止・倒産 ②労務体制の未整備による給与遅延・残業管理の不備 ③教育体制・評価制度の未整備 ④事業ピボットによる職務変更 ⑤キャリア形成の不確実性 の5つに整理できます
  • 中小企業庁の資料では、起業後の生存率は5年で約82%、10年で約70%とされていますが、これは中小企業全体の数値で、成長志向型スタートアップに限った数値ではありません。この水準をそのまま当てはめず、個別事業の持続性は別途確認する姿勢が安全です
  • 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」の公表資料では、事業所規模別の大卒3年以内離職率に差が示され、事業所規模が小さいほど離職率が高い傾向にあります(30人未満の規模で約5割、1,000人以上の規模で約2割半ばの水準)
  • 入社前の確認は、資金調達ステージ・労働条件通知書・みなし残業の時間数・新卒研修の有無・配属予定業務の5点に絞ると判断を進めやすくなります

この記事で分かること

  • スタートアップと「ベンチャー」「メガベンチャー」の違い、アーリー期の見分け方
  • 新卒がスタートアップで負う5つのリスクと、それぞれの発生経路
  • 公的データで分かる範囲の数値(起業後の生存率・事業所規模別離職率)
  • 入社前に募集要項・労働条件通知書で確認する5つのポイント
  • ケース別の判断(大手も受けている人/1社目をスタートアップで決めたい人/大学院生)
  • よくある失敗3つと、面接・内定承諾前のセルフチェックリスト

スタートアップの選考を受ける前に、資金調達ステージや労働条件のどこを確認するか一緒に整理できます。大手との併願で迷っている段階の相談も受けられます

前提:スタートアップと「ベンチャー」の違い、アーリー期の見分け方

スタートアップは、ベンチャーの中でも創業数年以内の、まだ事業・組織・制度が固まっていない段階の会社を指す語として使われます。経済産業省や中小企業庁の公的資料では「スタートアップ」の明確な定義はありませんが、2022年の経済産業省資料「スタートアップ育成5か年計画」でも、未上場で急成長を志向する企業群として扱われています。

一般的な使われ方としては次のような区分で語られます。

区分創業からの年数の目安組織の規模の目安資金調達ステージの目安
スタートアップ(アーリー期)創業~数年数名~30名前後シード・シリーズA
ベンチャー(成長期)創業~10年前後30名~300名前後シリーズB・C
メガベンチャー創業10年以上数百名~数千名上場(マザーズ・東証プライム)

※上記は公開情報として確認できるシリーズ名・従業員数の見られ方を目安として整理した一般例で、公的統計の定義ではありません。企業により該当する年数・組織規模は変わります。

言葉の整理(スタートアップ・ベンチャー・メガベンチャー)

言葉の使い方で誤解しやすいのは、メガベンチャー(本記事ではベンチャーとして創業し大企業規模に成長した企業)とスタートアップでは、新卒が置かれる環境がまったく違うという点です。メガベンチャーには新卒研修・評価制度・労務管理が揃っているケースが多く、本記事で扱う5つのリスクのうち労務・教育・制度に関わる部分の多くは当てはまりません。「ベンチャー全般の不安」と混同しないためにも、「新卒でベンチャーはやめとけ」は本当か、6つの理由を公的データで確かめるで、ベンチャー全般への批判がどこまで事実に基づくかを押さえておくのが有効です。

一方でアーリー期のスタートアップでは、人事・労務の担当者がおらず、代表や取締役が兼務していることも珍しくありません。本記事のリスクは、この段階の会社に新卒で入るときに特に意識したいものです。

「アーリー期」の判断に使える3つの外形指標

募集要項や会社情報から外形で判断できる指標として、次の3つがあります。

  • 資金調達ステージ:シード・シリーズA段階は、事業検証と組織立ち上げが並行している時期です。シリーズB以降は組織・制度が整い始めるタイミングとして語られます
  • 従業員数:10~30名規模では、新卒専任の人事や新卒研修担当がいないことがあります
  • 創業年数:創業数年以内は、事業検証の過程でピボットが起きうる時期として語られます(公的な時期区分の統計はありません)

これらを満たすほどリスクは大きくなります。1つだけ満たす会社と3つとも満たす会社では、必要な覚悟のレベルが変わります。

スタートアップの新卒選考・働き方は大手と何が違うか

スタートアップの選考・働き方は、大手やメガベンチャーと比べて次の3点で大きく異なります。大手との併願で迷っている段階では、リスクの話に入る前にこの違いを押さえておくと、「自分はどちらに向いているか」の判断軸が整理できます。

観点大手・メガベンチャーアーリー期スタートアップ
選考で見られる主な軸一般的な能力・志望動機・自社との相性事業への理解・入社後すぐ動ける素地・リスクへの覚悟
入社後の役割配属が明確・新卒研修あり配属の変更あり・入社直後から実務
キャリアの描き方社内の階層・ジョブローテで作る役割を広げながら実績で作る

採用する側がどこを見るか

アーリー期のスタートアップでは、1人の採用判断の影響が大きく、代表や事業責任者が最終面接に出ることが一般的です。見られているのは、事業内容を自分の言葉で説明できるか・入社直後から動ける素地があるか・不確実性に対する姿勢の3点です。大手の面接で評価されやすい「過去の実績の深掘り」よりも、将来の動き方の仮説を具体的に話せるかが問われやすくなります。

ベンチャー・スタートアップで評価される志望動機の作り方は、「なぜベンチャーなのか」と面接で聞かれたときの答え方と志望動機の作り方でまとめています。

大手との判断フレーム

本記事で扱う5つのリスクが「自分は受け入れられるか」を1つずつ分けて判断するためには、大手・ベンチャー・スタートアップの違いを横並びで比較するフレームが有効です。親ハブ記事ベンチャーと大手はどっちがいいか、新卒の1社目を決める判断の順番に、判断の順番と比較軸をまとめています。

リスク①:事業停止・倒産による雇用の喪失

結論から言うと、スタートアップに新卒で入る最大のリスクは、事業停止や倒産によって雇用そのものが失われることです。資金調達の失敗や事業検証の難航で、入社から1~2年で退職を余儀なくされる可能性が、大手より高い構造になっています。

創業後の生存率と、スタートアップでの読み方

中小企業庁「中小企業白書 2017」の付属統計資料によると、起業後の生存率は年数が経つほど下がる傾向が示されています。

起業からの経過年数生存率
1年後約95.3%
3年後約88.1%
5年後約81.7%
10年後約70.1%

出典:中小企業庁 中小企業白書 2017年版 第1-1-5図 起業後の企業生存率(新しいタブで開きます)(出典元は中小企業庁が総務省「事業所・企業統計調査」等から作成した資料。対象は中小企業全体で、スタートアップに限ったものではありません)

ただしこの数値は、個人事業主を含む中小企業全体を対象にしたもので、ベンチャーキャピタルから資金調達する成長志向型のスタートアップに限った数値ではありません。成長志向型スタートアップ単独の公的比較統計は確認しにくいため、この数値をそのまま当てはめず、入社の判断では5年後に8割残るではなく、自分が担当する事業が5年後にも続いているかは別の問題として考えておく必要があります。離職率の読み方については、ベンチャーの離職率はどう見るか、公的データの読み方と面接での質問で、公的データの読み方と面接での確認方法を整理しています。

新卒が内定取消・退職に直面したときに使える制度

倒産や事業停止で退職を余儀なくされた場合、中退共(中小企業退職金共済)や雇用保険の失業給付を使える制度があります。雇用保険は、原則として離職日以前2年間に通算12か月以上の被保険者期間があることが条件ですが、会社都合退職の場合は離職日以前1年間に通算6か月以上あれば受給資格が得られます(出典:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス 雇用保険の具体的な手続き(新しいタブで開きます))。

ただし、新卒入社から半年未満での会社都合退職では被保険者期間が足りず、失業給付を受けられないケースがあります。入社前に雇用保険・社会保険の加入状況は確認しておきたい重要なポイントです。

面接・入社前に確認したい3つの質問

資金・事業の持続性に関して、面接や内定後の面談で聞ける質問の例を挙げます。

  • 直近の資金調達の時期・ラウンド(シード/シリーズA/シリーズB)
  • 現在のバーン(毎月の支出)とランウェイ(残りの資金で何か月持つか)の目安
  • 今期の売上目標と、達成しなかった場合に優先的に削るコスト

これらは企業秘密に当たる場合もあるため、答えられる範囲でという前置きで聞きます。答えが用意されている会社ほど、資金計画が整理されていると判断できます。

リスク②:労務体制の未整備による給与遅延・残業管理の不備

アーリー期のスタートアップでは、人事・労務の担当者がおらず、代表や管理部門の兼務で回しているケースがあります。この構造が、給与の遅延や残業時間の管理不備につながることがあります。

給与・社会保険・労働保険の加入状況の見方

労働基準法第24条により、賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて全額を通貨で直接支払うことが原則です(出典:厚生労働省 労働基準法のあらまし(新しいタブで開きます))。給与の遅延は制度上認められていませんが、資金繰りが逼迫したスタートアップで実際に発生する事例が報道されることがあります。

社会保険(健康保険・厚生年金)・労働保険(労災保険・雇用保険)は、原則として法人であれば加入が義務付けられています。入社前の労働条件通知書で、加入予定の保険の種類を確認します。

固定残業代・みなし残業の扱い

固定残業代(みなし残業代)は、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含める設計です。「残業代が出ない」という誤解が広がっていますが、固定残業代で想定した時間を超えて働いた分は、別途残業代が支払われる必要があります。

募集要項で「月給30万円(固定残業代45時間分を含む)」のような表記を見たら、次の3点を確認します。

  • 固定残業代として想定されている時間数(45時間を超えるケースは要注意)
  • 想定時間を超えた分の割増賃金が別途支払われる旨の記載
  • 基本給(固定残業代を除いた金額)

リスク③:教育体制・評価制度の未整備

結論から言うと、スタートアップでは新卒研修・配属前OJT・評価制度が設計されていないケースがあるため、入社直後から「どう仕事を学ぶか」「何で評価されるか」が自分で設計する側に回ることがあります。

新卒研修と評価制度の有無

厚生労働省「若年者雇用実態調査(2018年)」では、新規学卒者を正社員として採用した事業所に対し、採用後の教育訓練・能力開発の実施状況を規模別に調査しており、事業所規模が小さいほど計画的なOJT・OFF-JTの実施割合が低くなる傾向が示されています。

事業所規模新規学卒者への計画的な教育訓練(OJT・OFF-JT)の実施傾向
1,000人以上実施している事業所の割合が最も高い
300~999人大規模より低いが実施割合は比較的高い
100~299人中程度
30~99人実施割合が下がる
5~29人実施している事業所の割合が最も低い

出典:厚生労働省 若年者雇用実態調査(新しいタブで開きます)(2018年実施。対象は若年労働者を雇用する常用労働者5人以上の事業所)。※厚生労働省の公表資料には規模別の実施割合が掲載されています。正確な数値は出典元の報告書本編を参照してください。

評価制度についても、人事担当がいないアーリー期のスタートアップでは、半期ごとの定期評価がなく、代表や事業責任者の裁量で昇給・賞与が決まることがあります。評価の透明性を重視する人には合わない場合があります。

相談先・ロールモデルの不足

同期の新卒が自分1人、または数名しかいないケースも多く、「このまま続けていいのか」と迷ったときの相談先を社内に持ちにくい構造があります。新卒入社後の悩みは、キャリアセンター・大学の同期・外部のメンターなど、社外に相談先を複数持っておくことで補えます。

就活生

スタートアップに興味はあるけど、周りに相談できる人がいない。入ってから後悔しないか不安です

ベンチャールーキーズ編集部

スタートアップに新卒で入る不安は、その多くが「入社後に何が起きるか見えていない」ことから来ます。本記事で挙げた5つのリスクは、入社前にすべて潰す必要はありません。どのリスクなら自分は受け入れられるかを1つずつ分けて判断することで、覚悟のレベルを言語化できます。

たとえば、「教育体制がないのは自分で学べば済む」と割り切れるタイプの人と、「評価制度の透明性が低いのは耐えられない」というタイプの人では、同じスタートアップでも向き不向きが分かれます。本記事内の表やチェックリストを使って、自分がどのリスクを受け入れられて、どのリスクは避けたいかを書き出してみてください。

本記事の5つのリスクのうち、自分はどれを受け入れられるか迷ったら、相談で一緒に整理できます。大手との併願で結論を出していない段階の相談も受け付けています

リスク④:事業ピボットによる職務変更

事業ピボットとは、スタートアップが事業検証の結果、提供する商品・サービス・ターゲット顧客を大きく変更することです。アーリー期では珍しくなく、入社時に説明された業務と1年後の業務が別物になるケースがあります。

ピボットの頻度と新卒への影響

ピボットの頻度に関する公的統計はありませんが、創業初期のスタートアップでは、代表や投資家が公開しているブログ・資料でピボットの経験が語られることが珍しくありません。新卒入社の立場からは、次の3点が影響しうるものとして把握しておきます。

  • 入社時に希望した職種(マーケティング・エンジニアなど)と違う役割を担当することがある
  • 事業領域が変わると、業界知識の積み上げが一度リセットされる
  • ピボット前後で退職する社員が増えるため、相談相手が入れ替わる

契約書・労働条件通知書で確認するポイント

労働条件通知書(または雇用契約書)には、業務内容・就業場所・労働時間・給与の決定方法が記載されます。入社前に次の3点を確認します。

  • 業務内容の記載が「当社の業務全般」のように広い場合、ピボット後の職務変更に法的な制約がかからない設計になっていることが多い
  • 配属予定部署・担当予定業務の記載があるか
  • 試用期間の長さと、試用期間中の解雇条件

スタートアップでは、業務内容を広く設計しておくのが一般的です。これ自体が悪いわけではありませんが、事前説明と実際の配属が違ったときに戻せる保障が弱いことは把握しておきます。

リスク⑤:キャリア形成の不確実性

結論から言うと、スタートアップでの経験は、2社目以降の採用市場でどう評価されるかが、個別の実績次第で大きく変動するという不確実性があります。

名刺価値・社会的信用の限界

未上場・無名のスタートアップでは、名刺を出して会社名で理解されることが少なく、取引先や金融機関との最初の説明に時間がかかります。クレジットカードや賃貸契約の審査は、勤務先規模・雇用形態・勤続年数・年収など複数の要因で判断されるため一概には言えませんが、勤務先の知名度や設立年数が審査に影響する場面があることは念頭に置いておきます。

2社目の採用市場での位置づけ

スタートアップから2社目への転職では、実績が数字で説明できるかで評価が大きく分かれます。たとえば「月間売上を前年比で2倍にした」「月間ユーザーを1万から10万に伸ばした」のように自分の寄与を数字で示せると、大手やメガベンチャーの中途採用でも評価されます。

一方で、ピボットや事業停止で担当業務が途中で変わった場合、実績を数字で説明しにくくなります。入社時から「2社目で自分の実績をどう語るか」を意識して仕事を選ぶことが、キャリア形成の不確実性を下げる動きになります。

ベンチャーからの転職全般の評価については、親ハブ記事ベンチャーから転職はできるのか、新卒1社目の経験がどう評価されるかでまとめています。

ケース別の判断とよくある失敗、入社前チェックリスト

ここまで整理したリスクを、読者の状況別にどう扱うかを3パターンで示したうえで、入社前の失敗の典型とチェックリストを置きます。

大手も受けている人

大手とスタートアップの両方を受けている段階では、まず本記事の5つのリスクを「受け入れられる/受け入れたくない」に分けて書き出すことから始めます。倒産・給与遅延は受け入れたくないが、教育体制の未整備は自分で学べば済む、のように分けて見ると、スタートアップに向いているかの輪郭が見えます。

大手との比較の進め方は、ハブ記事ベンチャーと大手はどっちがいいか、新卒の1社目を決める判断の順番に判断フレームをまとめています。

1社目をスタートアップで決めたい人

結論からスタートアップに決めたい場合でも、資金調達ステージ・労務体制・教育体制の3点はすべての候補企業で同じ基準で確認します。企業ごとに差が大きいため、「スタートアップだから」と一括りにしないことが重要です。

関連記事として、ベンチャー企業の見極め方はベンチャー企業の見極め方、新卒が入社前に何をどこで確かめればいいかでまとめています。

大学院生(修士)がスタートアップを狙うとき

修士の学生がスタートアップを狙う場合、研究で培った専門性を活かせる職種(技術職・リサーチ職など)と、ゼロから始める営業・マーケティング職では、入社後のキャッチアップ速度が変わります。研究テーマと事業領域が重なる会社ほど、ピボットや事業停止があったときの職務変更の衝撃を受けにくい傾向があります。

よくある失敗3つ

  • 情報不足のまま入社: 企業の資金調達状況や代表の発言を調べずに入社し、半年後に資金が尽きるケース。IR情報が公開されていない場合でも、INITIAL・PR TIMESなどの公開情報で直近の資金調達は確認できます
  • 稼働条件の未確認: 固定残業代の時間数や、社会保険の加入状況を確認せずに入社。入社後に「残業代が別途支払われない」「社会保険に入れない」と気づく
  • 資金調達ステージの誤認: 「ベンチャー」と「スタートアップ(アーリー期)」の違いを意識せず、同じ基準で判断してしまう。アーリー期のリスクは、成長期のベンチャーのそれより一段大きくなります

入社前チェックリスト

  • 直近の資金調達ステージを確認した(シード/シリーズA/シリーズB/以降)
  • 労働条件通知書で、業務内容・配属予定・給与の決定方法を確認した
  • 固定残業代の時間数と、超過分の支払い明記を確認した
  • 社会保険・雇用保険の加入予定を確認した
  • 新卒研修の有無と期間を確認した
  • 試用期間の長さと、試用期間中の解雇条件を確認した
  • 代表・事業責任者と直接話す機会があった
  • 事業の持続性について、面接で質問できた

よくある質問

スタートアップの定義にシード・シリーズAはどこまで含まれますか

一般的な使われ方としては、シード(創業前後)・プレシリーズA・シリーズAまでがアーリー期と呼ばれる段階に当たります。シリーズB以降はミドル・レイター期と呼ばれ、組織・制度が整い始めるタイミングです。本記事で挙げた5つのリスクは、特にシード~シリーズA段階で発生しやすいものです。

新卒がスタートアップで倒産を経験したら、2社目はどうなりますか

倒産での退職は会社都合退職として扱われ、雇用保険の失業給付の受給資格が得やすくなります。2社目の採用では、短期間での退職理由を会社側に説明する必要がありますが、倒産が理由であれば説明は難しくありません。むしろ、スタートアップで何を担当し、どの範囲まで実績を出したかを数字で説明できるかの方が重視されます。

給与遅延が1回でも起きた会社はすぐ辞めるべきですか

給与遅延は労働基準法第24条違反の可能性があります。1回でも発生したら、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談先を確認するのが先です。即座に辞めるかは、会社側の説明(資金調達の見込みがあるか等)と、自分の生活への影響を見て判断します。制度上は、民法627条1項により期間の定めのない雇用契約として2週間前の申し入れで解約できるのが原則です。

固定残業代の時間数が長い会社はブラック企業ですか

固定残業代の時間数が長いこと自体は違法ではありませんが、三六協定で定める通常の時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間とされています(違法性の判断は個別事情によります)。長時間労働が常態化していないかの確認が必要なので、募集要項で確認し、面接で「実際の平均残業時間」を聞くのが実務的です。

事業ピボットが起きたら、入社時の業務と変わっても拒否できませんか

労働条件通知書・雇用契約書に業務内容がどう書かれているかで、法的に拒否できる範囲が変わります。業務内容が「当社の業務全般」のように広く書かれている場合、職務変更の指示を拒否するのは難しくなります。入社前に業務内容の記載を確認しておくことが重要です。

新卒研修がない会社でも、入社後にスキルを身につけられますか

事業責任者や先輩社員との1対1のOJTが設計されている会社では、集合研修がなくても実務でスキルを身につけられます。入社前の面談で、「入社初日からどんな業務を担当するか」「最初の1か月のOJT担当者は誰か」を確認すると、現場での教育体制の実態が見えやすくなります。

スタートアップで評価されるにはどんな実績が必要ですか

職種により異なりますが、共通するのは数字で説明できる成果です。営業なら売上・契約数、マーケティングなら流入数・CV数、エンジニアなら機能実装の責任範囲や削減した処理時間など、自分の寄与を数字で切り出せる仕事を選ぶと、入社後の評価も、2社目への転職も進めやすくなります。

1人で担当する範囲が広いのはメリットですか、リスクですか

両面あります。メリットは、入社直後から事業全体の意思決定に関わり、短期間で経験を積めることです。リスクは、相談相手が社内にいない状態で判断を迫られることと、特定業務に深く入り込めないまま広く浅い経験で終わることです。本人の志向と、業務のサポート体制のバランスで判断します。

内定承諾後に資金調達が難航したと分かったら辞退できますか

内定の辞退は、民法627条1項により期間の定めのない雇用契約として、2週間前の申し入れで解約できるのが原則です。内定承諾書を提出していても、法的拘束力の説明を誤って「辞退できない」と考える必要はありません。ただし、理由と手順を丁寧に伝えることは社会人としての礼儀として重要です。

スタートアップでの経験を、大手の中途採用でどう評価されますか

近年、大手企業もスタートアップ出身者を中途採用で積極的に受け入れる動きがあります。評価されやすいのは、新規事業立ち上げの経験・小さい組織での意思決定・数字で説明できる成果の3点です。一方で、大手の組織運営やコンプライアンス実務の経験不足を懸念されることもあります。両面を踏まえて自分の実績を整理しておきます。

まとめ

スタートアップに新卒で入るリスクは、資金・労務・教育体制が整っていない段階ならではの5つに整理できます。入社前の確認と、入社後の自己学習・社外相談の設計で、リスクの多くは軽減できます。

  • スタートアップは「ベンチャー」全般とは別物で、アーリー期(創業数年以内・シリーズA前後)に特有のリスクがある
  • 5つのリスクは、①倒産 ②給与遅延・残業管理の不備 ③教育体制・評価制度の未整備 ④事業ピボット ⑤キャリア形成の不確実性
  • 中小企業庁の資料では起業後5年の生存率は約81.7%(中小企業全体)、厚生労働省のデータでは事業所規模が小さいほど新卒3年以内離職率が高い(30人未満で約5割水準)
  • 入社前に、資金調達ステージ・労働条件通知書・固定残業代の時間数・新卒研修の有無・配属予定業務の5点を確認する
  • 大手との併願で迷っている段階なら、本記事の5つのリスクを「受け入れられる/受け入れたくない」に分けて書き出すところから始める
  • 次のステップは、具体的な候補企業で本記事のチェックリストを使って確認を進めること

関連記事として、ベンチャーと大手はどっちがいいか、新卒の1社目を決める判断の順番、「新卒でベンチャーはやめとけ」は本当か、6つの理由を公的データで確かめる、ベンチャーの離職率はどう見るか、公的データの読み方と面接での質問、ベンチャー企業の見極め方、新卒が入社前に何をどこで確かめればいいかもあわせてご覧ください。

運営:株式会社ヘルスベイシス/ベンチャールーキーズ編集部

スタートアップファーストキャリア企業の見極め

ベンチャールーキーズ編集部
公的機関や調査会社が公表しているデータをもとに記事を作成しています。ES添削・面接対策などの相談には、新卒採用の選考に携わってきたメンバーが対応します。

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