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企業の選び方

ベンチャー企業の見極め方、新卒が入社前に何をどこで確かめればいいか

公開 この記事は約19分で読めます

ベンチャー企業の見極め方とは、事業が続くか、働き続けられるか、新卒が育つかを入社前に確かめる方法です。上場企業と違い、未上場のベンチャーは公開情報が少なく、自分で聞かないと分からない項目が多くあります。新卒向けに、何をどこで確かめるかを公的な情報源と質問例で整理します。

先に結論

  • 優良なベンチャーかどうかは、規模・知名度・資金調達の額では決まらない。「事業が続くか」「働き続けられるか」「新卒が育つか」の3つで確かめる
  • 確かめる場所は、公的な情報源(職場情報・しょくばらぼ・有価証券報告書など)、会社が出す情報(プレスリリース・求人票・決算公告)、説明会や面接での質問の3つ
  • 新卒を募集する会社は規模を問わず、学生から求めがあれば、採用と離職・育成・労働時間などの職場情報を3つの区分ごとに1つ以上提供する義務がある(若者雇用促進法)
  • 上場している大手は有価証券報告書で業績や平均年間給与を読めるが、未上場で小規模なベンチャーは公表が求められる情報が少なく、自分で聞かないと分からない項目が多い
  • 確かめた結果、大手を選ぶのも十分に納得できる判断。比べる材料をそろえてから決める

この記事で分かること

  • 「優良なベンチャー」を3つの問いに分ける考え方
  • 確かめる項目と、確かめられる場所の早見表
  • 職場情報・しょくばらぼ・ユースエール認定・有価証券報告書の使い方
  • 資金調達のニュース・求人票・決算公告から分かることと分からないこと
  • 大手と比べて、ベンチャーでは何を自分で聞く必要があるか
  • 説明会や面接で使える質問と、答えの見方
  • 入社前に使える見極めチェックリスト(判断シート)

志望するベンチャーを何で確かめればいいか、どの質問をすれば判断できるかを一緒に整理できます

優良ベンチャーとは?見極める前にそろえておきたい前提

「優良なベンチャー」と聞くと、有名な会社や大きな資金調達をした会社を思い浮かべがちです。ただ、新卒が1社目として見ておきたいのは知名度より、入社後に自分が働き続け、育っていけるかです。

「優良」を3つの問いに分ける

問い中身主に確かめること
① 事業が続く会社か売上や利用者が伸び、お金が回っているか事業の伸び、黒字か赤字か、資金の状況
② 働き続けられる会社か労働時間・休み・給与の仕組みが説明どおりか残業時間、有給休暇、固定残業代、新卒の定着
③ 新卒が育つ会社か任される仕事と、教わる仕組みがあるか研修、教える担当、振り返りの頻度

3つとも満点の会社は多くありません。「早く任されたい」なら③を、「生活を安定させたい」なら②を重く見るなど、重みは1社目で何を得たいかで変わります。得たいものの決め方はベンチャーと大手はどっちがいいかで整理しています。

見極めの早見表:何を、どこで確かめるか

確かめる項目公的な情報源会社が出す情報説明会・面接
新卒の採用数と離職者数職場情報(求めれば提供される)/しょくばらぼ採用ページ直近3年の人数を聞く
平均勤続年数・平均年齢職場情報/しょくばらぼ/上場なら有価証券報告書会社概要平均勤続年数を聞く
残業時間・有給休暇職場情報/しょくばらぼ求人票・募集要項新卒で入った人の実態を聞く
給与と固定残業代上場なら有価証券報告書(平均年間給与)求人票・募集要項固定残業代の時間数と超過分を聞く
研修・教える担当職場情報(研修やメンター制度)採用ページ担当の有無と振り返りの頻度を聞く
配属・勤務地の変わり方―求人票・労働条件の書面配属の時期と決め方を聞く
事業の伸び・お金の状況上場なら有価証券報告書プレスリリース・決算公告売上の推移と黒字化の見通しを聞く

「公的な情報源」の欄が埋まりにくい項目ほど、説明会や面接で聞く比重が大きくなります。

ミニFAQ:有名な投資家から出資を受けていれば、優良なベンチャーですか?

出資は、投資家が会社の将来の成長に期待した判断です。①の材料にはなりますが、新卒の育て方や労働時間を示すものではありません。②と③は別に確かめてください。

公的な情報源で、ベンチャー企業の何が確かめられるか

公的な情報源の強みは、会社の宣伝とは別の仕組みで情報が出てくることです。ただし、載っていないことは悪い会社だという意味ではありません。

若者雇用促進法の職場情報は、応募を考えている段階でも求められる

新卒を募集する会社には、若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)で、職場情報(法律上は「青少年雇用情報」)を提供する仕組みがあります。

区分主な項目
(ア) 募集・採用に関する状況直近3事業年度の新卒等の採用者数・離職者数、男女別の採用者数、平均勤続年数
(イ) 職業能力の開発・向上に関する状況研修の有無と内容、自己啓発支援、メンター制度(新卒の相談役をつける制度)の有無、キャリアコンサルティング制度、社内検定等の制度
(ウ) 職場定着に関する状況月平均所定外労働時間(会社が決めた労働時間を超えて働いた時間)、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得状況(男女別)、役員・管理職に占める女性の割合

出典:厚生労働省「若者雇用促進法のあらまし(若者向け)」(新しいタブで開きます)/青少年の雇用の促進等に関する法律施行規則 第3条・第4条(新しいタブで開きます)(いずれも2026年10月2日確認)

義務は「区分ごとに1つ以上」なので、(ア)で平均勤続年数だけが返ってきて離職者数は出てこないこともありえます。同じ指針は、学生が具体的な項目を求めた場合、特段の事情がない限りその項目を提供することが望ましいとしています。知りたい項目は名前を挙げて求めてください。

しょくばらぼ・ユースエール認定・J-Startupで確かめる

しょくばらぼ(職場情報総合サイト)は、企業の残業時間や有給休暇取得率、平均年齢などを検索・比較できる厚生労働省のサイトです。掲載企業数は152,380件です(しょくばらぼ(新しいタブで開きます)の表示、2026年10月1日時点)。載っている項目は会社ごとに違います。

ユースエール認定は、若者の採用・育成に積極的で雇用管理の状況などが優良な中小企業(常時雇用する労働者300人以下)を、厚生労働大臣が認定する制度です。

主な基準内容
新卒などの定着直近3事業年度に正社員として就職した新卒者などの離職率が20%以下
残業正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下、かつ月平均の法定時間外労働が60時間以上の正社員が1人もいない
有給休暇正社員の取得率が平均70%以上、または年間取得日数が平均10日以上
情報の公表職場情報(上の(ア)~(ウ)の項目)を公表している

出典:厚生労働省「ユースエール認定制度」(新しいタブで開きます)/同「若者雇用促進法のあらまし(若者向け)」。ほかに育児休業の取得実績などの基準もあります。

有効認定数は全国で1,984社です(2026年3月末時点。佐賀労働局 2026年9月7日発表資料(新しいタブで開きます))。認定は企業が申請して受けるもので、認定がないことは基準を満たしていないことを意味しません。認定企業は若者雇用促進総合サイト(新しいタブで開きます)で検索できます。

J-Startupは、経済産業省が推進する、有望なスタートアップを官民で集中的に支援するプログラムです。ベンチャーキャピタリストや大企業のイノベーション担当などの推薦をもとに、外部審査委員会がチェックして選びます(J-Startup公式サイト(新しいタブで開きます))。事業の潜在力に着目した選定で、働き方の基準で選ぶユースエールとは性質が違います。

上場していれば、有価証券報告書(EDINET)で業績や社員の平均を読める

株式を上場している会社などは、金融商品取引法で事業年度ごとに有価証券報告書の提出が求められ、金融庁のEDINET(新しいタブで開きます)で誰でも閲覧できます(金融庁「EDINETについて」(新しいタブで開きます))。

報告書の箇所分かること
主要な経営指標等の推移最近5年分の売上や利益の推移
事業等のリスク会社自身が事業のリスクと考えていること
従業員の状況従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与(賞与を含む)。法律に基づき公表していれば、女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女の賃金の差異も

根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令(新しいタブで開きます)の様式(2026年10月2日確認)

平均年間給与は社員全体の平均で、新卒の初任給ではありません。また、上場していないベンチャーは、提出が求められる条件に当てはまらない限り報告書を出していないため、EDINETでは見つかりません。

離職率の統計は「規模の傾向」として読む

事業所規模大卒の就職後3年以内離職率
5人未満57.5%
5~29人52.0%
30~99人41.9%
100~499人33.9%
500~999人31.5%
1,000人以上27.0%
全体33.8%

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(新しいタブで開きます)(2025年10月24日公表。2022年3月卒業者が対象)

規模が小さいほど離職率は高い傾向がありますが、これは事業所の規模別の平均で、「ベンチャーの離職率」ではありません。志望先の実際の数字は、職場情報の(ア)「新卒等の採用者数・離職者数」で確かめます。数字の受け止め方は「新卒でベンチャーはやめとけ」は本当かで詳しく扱っています。

会社が出す情報は、どこまで当てにできるか

会社が出す情報は事業の勢いをつかむのに役立ちますが、何を出すかは会社が選んでいることを前提に読みます。

資金調達のニュースやプレスリリースは「会社の発表」として読む

会社が出す情報分かることそれだけでは分からないこと
資金調達のプレスリリース・報道資金を調達したこと、調達額、使い道の予定黒字か赤字か、新卒の育て方、働き方
「急成長」「業界トップクラス」などの表現会社が何を強みと考えているか何と比べて、いつの時点の話か
採用ページ・説明会の資料仕事の魅力、社員の声辞めた人の数など、書かれていないこと

資金調達は株式の発行や借入れなどで外部から集めたお金で、売上や利益ではありません。調達額の大きさではなく、「何に使うのか」「黒字化はいつ頃を目指すのか」を聞いて判断します。

求人票と決算公告で、条件とお金の状態を確かめる

2024年4月からは、募集の段階で業務と就業場所の「変更の範囲」(将来の配置転換の見込みも含めた範囲)の明示が求められています(厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」(新しいタブで開きます))。

固定残業代(決まった時間分の残業代を、残業の有無にかかわらず定額で支払う仕組み)がある場合は、若者雇用促進法に基づく指針により、次の3つの明示が募集の段階で求められています(厚生労働省「若者雇用促進法のあらまし(若者向け)」)。

  • 固定残業代を除いた基本給の額
  • 固定残業代に当たる残業時間と金額
  • その時間を超えた残業には、割増賃金が追加で支払われること

お金の状態は、決算公告で確かめられることがあります。株式会社は会社法(新しいタブで開きます)440条で、貸借対照表の公告が求められています。官報や会社のウェブサイトで見つかれば、資産と負債のバランスが分かります。ただし損益計算書まで求められるのは資本金5億円以上などの「大会社」で、黒字か赤字かは公告からは分からないことがあります。

ミニFAQ:赤字のベンチャーは避けたほうがいいですか?

赤字というだけでは避ける理由になりません。創業から間もない会社は、売上が育つ前に開発や採用へ先にお金を使うことがあります。確かめたいのは、赤字をまかなえる資金の見通しと、黒字化を目指す時期です。答えに時期と根拠があるかで判断できます。

ベンチャー企業の見極めは、大手と何が違うか

大手とベンチャーでは、入社前に読める情報の量が法律の仕組みの上で違います。公表が求められる情報は、上場の有無と会社の規模で次のように変わります。

公表が求められる会社内容根拠
新卒を募集するすべての会社求めがあれば、職場情報を3区分ごとに1つ以上若者雇用促進法
株式会社(有価証券報告書を出す会社を除く)貸借対照表の公告(大会社は損益計算書も)会社法440条
従業員101人以上男女間賃金差異・女性管理職比率を含む3項目以上(301人以上は4項目以上)。100人以下は努力義務女性活躍推進法(2026年4月改正)
常時雇用する労働者が300人超男性の育児休業等の取得率を年1回育児・介護休業法(2025年4月改正)
上場している会社など有価証券報告書(業績・事業等のリスク・従業員の状況)金融商品取引法

出典:厚生労働省「女性活躍推進法が改正されました!」(新しいタブで開きます)(令和8年2月18日改定版)/厚生労働省・都道府県労働局の育児休業取得率等の公表に関するリーフレット(新しいタブで開きます)/本文中の各法令。女性活躍推進法の改正で加わった項目は、初回の公表時期が事業年度によって違い(3月決算なら2027年6月末ごろまで)、2026年10月時点では公表前の会社もあります。

上場している大手と、未上場のベンチャーで読める情報の差

確かめたい情報上場している大手未上場で小規模なベンチャー
売上・利益の推移有価証券報告書で5年分を読める報告書がない。利益は聞いて確かめる
平均年間給与・平均勤続年数有価証券報告書に載る平均勤続年数は職場情報で求める。給与は仕組みを聞く
女性管理職比率・男性の育休取得率規模の要件で公表されている規模が小さいと公表の義務がない
事業のリスク報告書に会社自身が書く説明会や面接で聞く

新卒の採用数・離職者数は、大手もベンチャーも有価証券報告書には載らず、どちらも職場情報として求める項目です。

ただし大手でも、報告書に載るのは会社全体の平均で、配属先ごとの残業や育て方は書かれていません。どちらを受ける場合も、配属されそうな部署について聞く作業は残ります。

就活生

公開されている情報が少ないなら、ベンチャーは避けたほうが安全なんでしょうか?

ベンチャールーキーズ編集部

情報の少なさは、会社の良し悪しというより、公表の義務が上場の有無と規模で決まる仕組みから来ている面があります。社員100人以下の未上場の会社なら、法律で公表が求められる情報はもともと多くありません。

そのぶん判断の分かれ目は、聞いたときに具体的に答えてくれるかです。職場情報は規模を問わず、求めれば区分ごとに1つ以上を提供する義務があり、求めたことを理由に不利益な取扱いをしないことも国の指針で求められています。聞いても数字や具体例が返ってこなければ、判断材料が足りない状態です。他社や大手と同じ質問で比べ、その結果として大手を選ぶのも十分に納得できる判断です。

志望するベンチャーに何を聞けば判断できるか、聞きにくい質問の伝え方も含めて一緒に整理できます

説明会・面接で何を聞けば、優良なベンチャーを見極められるか

公的な情報源と会社の発表で分からなかった項目は、説明会や面接で聞きます。答えが数字や具体例で返ってくるかが判断の目安です。

項目別の質問と、答えの見方

確かめること質問の例判断しやすい答えもう一段聞きたい答え
事業の伸び「この1~2年で、売上や利用者はどう変わりましたか」数字や時期を交えた説明「順調です」だけ
お金の状況「いまは黒字ですか。黒字でなければ、いつ頃を目指していますか」時期と根拠がある「調達したので大丈夫です」だけ
新卒の定着「直近3年の新卒の採用数と、辞めた人数を教えてください」人数と、辞めた理由が出てくる「あまり辞めていません」だけ
残業・休み「新卒1年目は、月の残業時間や有給休暇の取り方がどうなっていますか」時間や日数が出てくる「人によります」だけ
固定残業代「固定残業代は何時間分で、超えた分はどう支払われますか」時間数・金額・超過分の説明説明があいまい
育成「新卒には教える担当がつきますか。振り返りの頻度は」担当と頻度が決まっている「自分で考えて動ける人が活躍しています」だけ
配属「配属はいつ、どのように決まりますか」時期と決め方が分かる「入社後に決めます」だけ

右の列の答えでも、すぐに悪い会社と決めつける必要はありません。「昨年入った方の場合は、どうでしたか」と1人の例に絞って聞き直すと、具体的な答えが出やすくなります。なお、職場情報には提供の義務がありますが、売上や利益などは答えるかどうかを会社が決めます。答えが得られなかった項目も、記録しておきます。育成の質問の深め方はベンチャーで成長できるのは本当かで、「任される範囲」と「フィードバックの量」に分けて整理しています。

聞き方と、聞く時期の工夫

職場情報は、次の方法で求められます(厚生労働省「若者雇用促進法のあらまし(若者向け)」)。

場面求め方
説明会・面接「職場情報(青少年雇用情報)の提供を希望します」と口頭で伝える
メール・書面氏名、連絡先(住所またはメールアドレス)、学校名と在学年、提供を希望する旨を書いて送る

提供された情報は、SNSに投稿するなど転用しないことも求められています。聞く時期は、選考の段階に合わせて分けると負担が減ります。

時期主に聞くこと聞く場
説明会の段階事業の伸び、新卒1年目に任される仕事、教える担当質問の時間、社員との座談会
インターンの段階残業の実態、振り返りの頻度配属先の社員との会話(28卒の秋冬インターンはどう選ぶか)
面接の段階事業の今後、入社後に任される仕事逆質問(28卒の面接対策)
内定後給与・固定残業代・配属などの条件、職場情報の項目内定者面談、メール

調べれば分かることを先に調べてから聞くと、質問も答えも具体的になります。

入社前に使う、ベンチャー企業の見極めチェックリスト

3つの問いごとにまとめた判断シートです。項目の横に、確かめた場所(職場情報・しょくばらぼ・有価証券報告書・説明会・面接など)を書き添えると、複数の会社を比べるときに見返しやすくなります。

① 事業が続く会社か

  • 売上や利用者の伸びを、数字か具体例で説明してもらえた
  • 黒字か赤字か、赤字ならいつ頃の黒字化を目指しているかを聞いた
  • 資金調達のニュースは会社の発表として読み、使い道を確かめた
  • 上場している場合は、有価証券報告書の「事業等のリスク」を読んだ

② 働き続けられる会社か

  • 直近3事業年度の新卒の採用数と離職者数を確かめた
  • 月平均の残業時間と、有給休暇の平均取得日数を確かめた
  • 固定残業代がある場合、時間数・金額・超えた分の支払いを確かめた
  • 業務と勤務地の「変更の範囲」を、求人票や労働条件の書面で確かめた

③ 新卒が育つ会社か

  • 研修の有無と内容、教える担当(メンター)の有無を確かめた
  • 振り返りを誰と、どのくらいの頻度で行うかを聞いた
  • 新卒1年目と2~3年目に、それぞれどんな仕事をしているかを聞いた

チェック結果の読み方と、注意したいサイン

チェックの状態意味次にやること
数字や具体例で確かめられた比べる材料がそろった他社と同じ項目で比べる
まだ聞けていない材料が足りない次の説明会や面談で聞く。職場情報は項目名を挙げて求める
聞いたが、具体的な答えがなかった判断材料が足りないまま1人の例に絞って聞き直す。それでも出なければ、他社と比べるときの注意点として残す

注意したいのは、次のサインがいくつも重なる場合です。1つだけで悪い会社と決まるわけではありません。

  • 職場情報を項目名を挙げて求めても、出てこない
  • 固定残業代の時間数や、超えた分の支払いの説明がない
  • 新卒の仕事や育成を聞いても、具体例が出てこない
  • 黒字化の見通しを聞いても、「調達したので大丈夫」以上の説明がない

状況別の考え方

ケース1:設立から数年のスタートアップから内定が出た

公開情報が少ないのは、規模と上場の有無から見て自然なことです。重点を置きたいのは、①の資金の状況と黒字化の見通しと、③の教える担当がいるかです。内定後の面談で職場情報を項目名を挙げて求め、合わなかったときの選択肢も考えておくと安心です(ベンチャーから転職はできるのか)。

ケース2:大手とベンチャーで迷っていて、比べる材料がほしい

同じチェックリスト、同じ質問で両方を比べてください。大手は報告書で読める情報が多い一方、配属先ごとの実態は聞かないと分かりません。軸がそろうと、「規模で選ぶ」から「中身で選ぶ」に判断が変わります。そのうえで大手を選ぶのも、十分に納得できる結論です。

ケース3:将来は起業したくて、伸びているベンチャーに入りたい

事業の伸びに加えて、事業をつくる過程に新卒がどこまで関われるかを確かめます。「新卒で、新しい事業の立ち上げに関わった人はいますか」と聞くと、答えの具体性で判断できます。1社目の選び方はベンチャー就職は起業の近道かで整理しています。

よくある失敗と対策

失敗なぜ起きるか対策
資金調達の額で「優良」と判断する調達額を会社の実力や安定と同じものと考える使い道と黒字化の見通しを聞く
「裁量がある」「アットホーム」で決める言葉の中身を確かめていない残業時間・教える担当・振り返りの頻度を具体的に聞く
規模別の離職率を志望先の数字だと思い込む事業所規模の平均を個別の会社に当てはめる職場情報で志望先の新卒の採用数と離職者数を確かめる
公的なサイトに載っていない会社を外す掲載や認定が会社の登録・申請によることを知らない載っていない項目は職場情報として求める
聞きにくくて確かめないまま承諾する質問すると評価が下がると思い込む内定後の面談やメールで求める

よくある質問

優良なベンチャー企業の見分け方を、短く言うと何ですか?

「事業が続くか」「働き続けられるか」「新卒が育つか」の3つを、公的な情報源・会社が出す情報・説明会や面接での質問で確かめることです。規模や知名度、資金調達の額だけでは判断できません。

ベンチャー企業の離職率は、どこで調べられますか?

「ベンチャー企業の離職率」を示す公的な統計はありません。厚生労働省の統計は事業所規模別で、大卒の3年以内離職率は1,000人以上で27.0%、30~99人で41.9%です(令和4年3月卒業者、2025年10月公表)。個別の会社の数字は、若者雇用促進法に基づく職場情報として、直近3事業年度の新卒の採用者数・離職者数を求められます。

職場情報を求めると、選考で不利になりませんか?

若者雇用促進法に基づく国の指針で、事業主は、情報提供を求めた学生に対し、求めたことを理由とする不利益な取扱いをしないこととされています。情報が提供されない、不利益に扱われたといった場合は、ハローワークに相談できます(厚生労働省「若者雇用促進法のあらまし(若者向け)」)。

スタートアップとベンチャーで、見極め方は違いますか?

確かめる3つの問い(事業が続くか・働き続けられるか・新卒が育つか)は同じです。創業から間もないスタートアップほど、社員が少なく上場もしていないため、法律で公表が求められる情報が少なくなります。そのぶん、資金の見通しと、新卒に教える担当がいるかを説明会や面接で聞く比重が大きくなります。

法律違反のある会社かどうかは、どこで確かめられますか?

厚生労働省は、労働基準関係法令の違反の疑いで送検し公表した事案などを、各労働局の公表内容を集約して1年分掲載しています(厚生労働省「長時間労働削減に向けた取組」(新しいタブで開きます)内「労働基準関係法令違反に係る公表事案」、2026年9月30日掲載分)。載っていないことは問題がない証明にはならないため、残業時間や離職者数もあわせて確かめます。

ユースエール認定とは何ですか?

若者の採用・育成に積極的で雇用管理の状況などが優良な中小企業(常時雇用する労働者300人以下)を、厚生労働大臣が認定する制度です。新卒などの離職率20%以下などが基準で、有効認定数は全国で1,984社です(2026年3月末時点、佐賀労働局発表資料)。

上場していない会社の業績は、どうすれば分かりますか?

株式会社は会社法440条で貸借対照表の公告が求められており、官報や会社のウェブサイトで見つかれば財務の大まかな状態が分かります。損益計算書まで求められるのは資本金5億円以上などの大会社に限られるため、売上の推移や黒字化の見通しは、説明会や面接で聞くのが近道です。答えてもらえなかった場合は、そのことも他社と比べるときの材料にします。

口コミサイトの評判は、参考になりますか?

個人の投稿で、書いた人の時期や部署によって内容は偏ります。そのまま結論にせず、「残業が多い」という投稿があれば月の残業時間を聞く、というように確かめる質問をつくる材料として使うのが向いています。

メガベンチャーも、同じ方法で見極められますか?

同じ方法が使えます。メガベンチャー(ベンチャーとして創業し、大企業規模に成長した企業)が上場していれば、有価証券報告書で業績や従業員の状況を読めます。配属先によって働き方が違うこともあるため、配属の決まり方と、配属先ごとの残業や育成も聞いてください。

固定残業代がある会社は、避けたほうがいいですか?

仕組み自体は避ける理由になりません。若者雇用促進法に基づく指針では、固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代に当たる時間数と金額、その時間を超えた分の割増賃金を追加で支払うことを、募集の段階で示すよう求めています。この3つの説明がそろっているかを確かめてください。

まとめ

この記事の要点
  • 優良なベンチャーかどうかは、規模・知名度・資金調達の額では決まらない。「事業が続くか」「働き続けられるか」「新卒が育つか」の3つで確かめる
  • 新卒を募集する会社は規模を問わず、求めがあれば職場情報を3区分ごとに1つ以上提供する義務がある。知りたい項目は名前を挙げて求める
  • しょくばらぼ・ユースエール認定・有価証券報告書は、載っている会社については有力な材料。載っていないことは悪い会社の証拠ではない
  • 資金調達のニュースは会社の発表。使い道と黒字化の見通しを聞いて判断する
  • 未上場で小規模なベンチャーは公表が求められる情報が少ない。数字や具体例で答えてもらえるかが判断の分かれ目
  • 見極めた結果、大手を選ぶのも十分に納得できる判断

次のアクションとして、志望する会社を2~3社選び、チェックリストの項目を同じ質問で埋めていくところから始めてください。

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