ベンチャーの離職率はどう見るか、公的データの読み方と面接での質問

「ベンチャーの離職率」を示す公的統計はありません。厚労省の事業所規模別統計の読み方、個別企業の数字を調べる4つの情報源、面接で離職率を聞く5つの質問を整理し、新卒就活でどう判断材料にすべきかを解説します。
先に結論
- 「ベンチャー企業の離職率」をそのまま示す公的統計はありません。厚生労働省の統計は事業所規模別・業種別で、ベンチャーというカテゴリでは集計されていません
- 大卒の3年以内離職率は全体で33.8%、事業所規模が1,000人以上で27.0%、30~99人で41.9%、5人未満で57.5%です(令和4年3月卒業者・2025年10月24日公表)
- 事業所規模別の数値は、ベンチャー以外の小規模事業所も含めた平均で、志望企業個社の数字ではありません
- 個別企業の数字は、若者雇用促進法に基づく職場情報(新卒の採用者数・離職者数の3年分)を企業に請求するのが最も直接的な方法です
- 面接では「直近3年の新卒採用者数と離職者数」「辞めた人の進路」など、数字と理由を分けて聞くと、評価につながる対話になります
この記事で分かること
- 公的データで「ベンチャーの離職率」がどう扱われているか
- 厚労省の事業所規模別・業種別の離職率データの読み方と、ベンチャーに当てはめるときの注意
- 個別企業の離職率を調べる4つの情報源と、情報の信頼度の違い
- 面接で離職率を聞く5つの質問と、採用担当者が答えやすい聞き方
- 離職率が高くても気にしなくていい場合、低くても注意すべき場合の判断軸
- 第1志望1社・複数内定・創業数年のスタートアップでの重みづけの違い
離職率の数字を志望企業にどう当てはめればいいか、判断軸の整理にキャリア相談を使えます。
公的データでは「ベンチャーの離職率」そのものは出てこない
就活中に「ベンチャーの離職率は◯割」といった記述を見かけますが、根拠になる公的統計は存在しません。厚労省の統計は事業所規模別または業種別で、「ベンチャー」というカテゴリでは集計されていないためです。
厚労省の統計は事業所規模別と業種別しかない
厚生労働省が毎年公表する「新規学卒就職者の離職状況」は、雇用保険の加入状況から新卒者の離職を追跡した集計です。公表されるのは次の3種類の切り口です。
- 事業所規模別(5人未満/5~29人/30~99人/100~499人/500~999人/1,000人以上の6区分)
- 業種別(宿泊業・飲食サービス業/情報通信業など16区分)
- 学歴別(中学・高校・短大等・大学の4区分)
「ベンチャー企業」や「スタートアップ」という区分はありません。民間のまとめ記事で見かける「ベンチャーの3年以内離職率◯割」は、調査主体・母集団・時期のどれかが示されていないケースが多く、数字の根拠を追えないことがほとんどです。
「ベンチャー」自体に公的な定義がない
「ベンチャー企業」には法律や公的統計の上での定義がありません。中小企業基本法の「中小企業」(資本金・従業員数で区分)とも別物で、創業年数・成長段階・事業モデルの一部または全部を満たした企業の総称として使われます。
このため、ベンチャーに該当する企業群を特定した上で離職率を集計すること自体が、実務的に難しいという事情があります。ベンチャー企業の見極め方でも、ベンチャーに公的な定義がない前提で、入社前に自分で確かめられる項目を整理しています。
事業所規模別の3年以内離職率、数字の読み方
公的データで最も参照されるのは、厚生労働省が毎年10月末に公表する「新規学卒就職者の離職状況」です。直近は令和4年3月卒業者(2022年3月卒・大卒)の3年以内離職率が2025年10月24日に公表されました。
大卒の3年以内離職率(事業所規模別)
| 事業所規模 | 大卒の3年以内離職率 |
|---|---|
| 5人未満 | 57.5% |
| 5~29人 | 52.0% |
| 30~99人 | 41.9% |
| 100~499人 | 33.9% |
| 500~999人 | 31.5% |
| 1,000人以上 | 27.0% |
| 全体 | 33.8% |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(新しいタブで開きます)(2025年10月24日公表。雇用保険の加入状況をもとにした集計で、2022年3月卒業者が対象)。この数値は28卒自身の数値ではなく、先輩世代(2022年3月卒)の実績です。
事業所の規模が小さいほど離職率は高い傾向が続いています。全体の33.8%は大卒の約3人に1人が3年以内に辞めている計算で、1,000人以上の大企業でも約4人に1人は3年以内に辞めています。
この数値の2つの注意点
事業所規模別の離職率を志望企業に当てはめるときは、2つの点を分けて考える必要があります。
- ベンチャーの離職率ではない:事業所規模別の集計で、ベンチャー以外の小規模事業所(町工場・個人商店など)も含まれます。社員が数千人のメガベンチャーは1,000人以上の区分に入り、創業数年のスタートアップは5~29人や30~99人の区分に入ることが多くなります
- 離職には転職も含まれる:合わずに辞めた人だけでなく、次の職場を決めて移った人も「離職」としてカウントされます。離職率の高さだけでは、ネガティブな退職かキャリアチェンジかを区別できません
「新卒でベンチャーはやめとけ」は本当かでも、離職率の数字をベンチャーに当てはめるときの誤解を6つの理由に分けて検証しています。
業種別の3年以内離職率も見ておく
事業所規模だけでなく、業種別の離職率も参考になります。志望ベンチャーの業種がどこに該当するかで、相対的な位置が見えます。
| 業種(抜粋) | 大卒の3年以内離職率 |
|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 56.6% |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 53.7% |
| 教育・学習支援業 | 46.6% |
| 医療・福祉 | 41.5% |
| 情報通信業 | 29.6% |
| 金融業・保険業 | 26.9% |
| 製造業 | 24.0% |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(新しいタブで開きます)(2025年10月24日公表。2022年3月卒業者が対象)。※28卒自身の数値ではありません。
IT系・SaaS系のベンチャーが多く入る情報通信業は29.6%、BtoCサービスの一部が入る生活関連サービス業は53.7%と、業種による差が規模差と同じかそれ以上に大きく出ます。志望企業の業種が全体平均のどこに位置するかを押さえた上で、個別企業の数字を確認するのが実務的です。
個別企業の離職率を調べる4つの情報源
志望企業個社の離職率は、公的データからは直接出てきません。使える情報源は次の4つで、信頼度と手に入る情報の粒度が違います。
| 情報源 | 得られる情報 | 信頼度 | 入手の手間 |
|---|---|---|---|
| 若者雇用促進法に基づく職場情報 | 直近3年の新卒採用者数・離職者数、月平均残業時間、有給取得日数 | 高 | 企業に請求 |
| 会社四季報(就職版) | 3年以内離職率、平均勤続年数、採用実績 | 中~高 | 書店・大学図書館で閲覧 |
| OpenWork・ライトハウス等の口コミサイト | 退職理由・残業時間・年収の口コミ | 中 | 会員登録 |
| 有価証券報告書 | 平均勤続年数、平均年齢、従業員数 | 高 | EDINETで閲覧 |
①若者雇用促進法に基づく職場情報(最も直接的)
若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律、2015年施行)により、新卒採用を行う企業は、応募者が求めた場合、以下の3カテゴリから各1項目以上の情報を提供する義務があります。
- (ア)募集・採用(直近3事業年度の新卒等の採用者数・離職者数、男女別の採用者数、平均勤続年数)
- (イ)職業能力の開発(研修・自己啓発支援・メンター制度の有無など)
- (ウ)職場への定着(前年度の月平均所定外労働時間、年次有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得実績)
出典:厚生労働省「若者雇用促進法に基づく職場情報の提供の仕組み」(新しいタブで開きます)。
志望企業の実際の数字を正式に請求できる仕組みで、企業説明会・採用ページ・問い合わせフォーム経由で求められます。求める際に特別な理由を伝える必要はありません。
②会社四季報(就職版)
東洋経済新報社が毎年11月に発売する書籍で、主要企業の採用実績・離職率・平均年齢・平均勤続年数を一覧できます。掲載社数は約5,000社(2026年版・編集部発表)。掲載企業は上場企業・大手非上場が中心のため、創業数年のスタートアップは載っていないケースが多くなります。書店・大学図書館で確認できます。
③OpenWork・ライトハウスなどの口コミサイト
退職者・在籍者の口コミから、離職理由・残業時間・年収などを調べられます。
- 口コミの母集団に偏りがある(不満を持つ退職者が投稿しやすい)
- 投稿時期の分散を確認し、直近2年以内の口コミを中心に見る
- 複数のサイトで同じ傾向が出ている情報は、信頼度が相対的に高い
口コミサイトの読み方の注意は、ベンチャー企業の見極め方でも整理しています。
④有価証券報告書(上場企業のみ)
上場企業は金融商品取引法に基づき、「平均勤続年数」「平均年齢」「従業員数」などを開示しています。離職率を直接記載する義務はありませんが、平均勤続年数の推移から定着状況の目安をつかめます。EDINET(金融庁の電子開示システム)で閲覧できますが、連結子会社の数字が合算されるケースがあり、志望先の単体の数字でないことに注意してください。

就活生
会社の離職率を面接で聞くと、「うちは本気で入りたいわけじゃないんだな」と思われそうで不安です。それでも聞いていいものでしょうか。

ベンチャールーキーズ編集部
若者雇用促進法で定められた情報提供の請求は、応募者の正当な権利です。制度上は、質問をしたこと自体が応募者の評価を下げる前提にはなっていません。ただし、聞き方が抽象的だと採用側に温度感を誤解されるケースはあります。
ただ、聞き方で印象は変わります。「御社の離職率はどのくらいですか」とだけ聞くと、採用担当者はどの数字(全体/新卒/直近3年/部署別)を答えるべきか迷います。「若者雇用促進法に基づく情報提供として、直近3事業年度の新卒採用者数と離職者数を教えていただけますか」のように、求める情報を具体的に伝えると、企業側も答えやすくなります。
数字だけを求めるのではなく、「その数字をどう解釈されているか」「辞めた方の次の進路に傾向はあるか」を併せて聞くと、企業側の人事体制や採用への姿勢まで見えます。離職率は、企業と対話するためのきっかけとして扱うのが実務的です。
志望企業個社の離職率をどう調べ、どう面接で聞くか、企業ごとに整理したい場合はキャリア相談を使えます。
面接で離職率を聞く5つの質問
離職率を面接で聞くときは、数字と理由を分けて聞き、企業側が答えやすい粒度にそろえると、評価につながる対話になります。推奨される5つの質問を整理します。
①直近3年の新卒採用者数と離職者数
- 聞き方:「若者雇用促進法に基づく情報提供として、直近3事業年度の新卒採用者数と離職者数を教えていただけますでしょうか」
- 得られる情報:母数とともに数字が出てくるため、「◯割」の割合だけでは見えない規模感が分かる
- 補足:採用数が極端に増減している場合、事業の転換期や拡大期の可能性があり、離職率の変動要因になります
②辞めた人の進路と離職理由
- 聞き方:「辞められた方の次の進路に傾向はありますか。退職理由として多いものを教えていただけますか」
- 得られる情報:合わずに辞めたのか、次のキャリアを決めて移ったのかの区別がつく
- 補足:答えにくい質問のため、回答のオープンさから採用側の情報開示への姿勢も見えます
③部署・年次別の定着の偏り
- 聞き方:「特定の部署や入社年次に離職が集中する傾向はありますか」
- 得られる情報:会社全体の数字では見えない配属リスクが見える
- 補足:答えがぼかされる場合、特定の部署に負荷が集中している可能性があります
④同じポジションの前任者の在籍年数
- 聞き方:「私が入社した場合に想定される配属先では、前任者はどれくらい在籍されていましたか」
- 得られる情報:自分が入る可能性の高い職位・環境での定着の実態
- 補足:OJTやメンター制度の運用状況を併せて聞くと、入社直後の支援体制が見えます
⑤残業時間と年次有給休暇の取得状況
- 聞き方:「若者雇用促進法に基づく情報提供として、前年度の月平均所定外労働時間と、年次有給休暇の平均取得日数を教えていただけますか」
- 得られる情報:離職率の背景にある働き方の条件が見える
- 補足:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」(新しいタブで開きます)によれば、離職理由の第1位は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」32.8%で、働き方の条件は離職率を解釈する際の重要な情報です
ベンチャー新卒1年目で起きることでも、入社直後の業務内容と、辞めた人・辞めなかった人の行動の差を整理しています。
離職率が高くても気にしなくていい場合、低くても注意すべき場合
離職率は単体では判断材料になりません。背景の事情で、同じ数字でも意味が変わります。
高くても気にしなくていい場合
- 事業の転換期で、辞めた人の多くが次のキャリアに積極的に移っている(起業・大学院進学・同業他社の経営幹部への転職など)
- 採用数を数年で急拡大した直後(分母が急増すると、既存社員の離職率が相対的に上がる)
- 特定の業界の構造的要因(例:営業職の流動性が高い業界、プロフェッショナル職の独立が多い業界)
低くても注意すべき場合
- 社員数が少なく、母数の変動で数字がブレやすい(社員10人の企業で1人辞めると離職率10%)
- 採用数が極端に少ない期間がある(辞めるタイミング自体が発生しにくい)
- 退職の自由度が低く、辞めるハードルが高い(オヤカク・引き止めが強いなど)
離職率の規模差を含めた大手との比較はベンチャーと大手はどっちがいいかで整理しています。あわせてベンチャーを3年以内に辞める人と辞めない人の差で入社前後に見ておく行動を確認しておくと、離職率の数字と組み合わせて志望先の実態が立体的に見えます。
ケース別:志望段階ごとの離職率の重みづけ
志望する企業数・段階によって、離職率の数字をどう重みづけするかが変わります。代表的な3つのケースを整理します。
ケースA:第1志望を1社に絞っている
- 若者雇用促進法に基づく職場情報を正式に請求する(新卒採用者数・離職者数の3年分、月平均残業時間、有給取得日数)
- 口コミサイトの直近2年の投稿で多い論点を把握する
- 面接で「直近3年の新卒採用者数と離職者数」「辞めた人の次の進路」の2点は確認する
ケースB:複数内定で迷っている
- 迷っている企業すべてに同じ内容を聞く(新卒採用者数・離職者数の3年分、辞めた人の進路)
- 離職率だけでなく、大手とベンチャーの両方に内定したときの決め方の4軸(事業・成長・住環境・家族との距離)と組み合わせて重みづけする
- 数字が同じでも、企業側の答えのオープンさで差が出る
ケースC:創業数年のスタートアップを受けている
- 創業3年未満だと、3年以内離職率そのものが成立しない期間がある
- 代わりに「創業からの退職者数」「現社員で最も長く在籍している人の年数」「創業時メンバーの残存率」を聞く
- 財務面(資金調達の履歴・ランウェイ)を併せて確認する。ベンチャーで成長できるのは本当かでも事業段階ごとの違いを整理しています
志望企業が1社に絞られているケースほど、離職率の数字を細かく追う価値は高くなります。複数内定で迷う段階では、離職率は4~5つの判断軸の1つとして位置づけるのが現実的です。
よくある失敗と対策
離職率を調べるときに起きやすい失敗を、対策とセットで並べます。
- ネット記事の「ベンチャーの3年以内離職率は◯割」をそのまま信じる → 調査主体・時期・母集団を確認し、追えないものは使わない
- 事業所規模別の数字をベンチャー全般の数字と誤解する → 「ベンチャー=小規模ではない」前提で、志望先の個別の数字で確かめる
- 離職率だけで企業を切ってしまう → 離職理由と退職者の進路を併せて聞き、立体的に判断する
- 面接で「御社の離職率は?」とだけ聞いて答えに窮させる → 若者雇用促進法の請求項目に合わせて、具体的な粒度で求める
- 口コミサイトの数年前の投稿を直近の状況と誤解する → 直近2年以内の投稿を中心に、投稿時期の分散を確認する
- 低い離職率を無条件に「良い会社」と受け取る → 平均勤続年数・社員の年齢構成を併せて見て、低さの背景を立体的に判断する
よくある質問
ベンチャー企業の離職率は、公的なデータでどこに載っていますか
「ベンチャー企業の離職率」そのものを示す公的統計はありません。厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」は事業所規模別・業種別の集計で、ベンチャーというカテゴリでは集計されていないためです。志望企業個社の数字は、若者雇用促進法に基づく職場情報として、直近3事業年度の新卒採用者数・離職者数を企業に請求するのが最も直接的な方法です。
大卒の3年以内離職率はどのくらいですか
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(新しいタブで開きます)(2025年10月24日公表)によれば、全体で33.8%です。事業所規模別では1,000人以上で27.0%、30~99人で41.9%、5人未満で57.5%です。この数値は2022年3月卒業者の実績で、28卒自身の数値ではありません。
離職率を面接で聞くと採用で不利になりませんか
若者雇用促進法で定められた情報提供の請求は、応募者の正当な権利です。制度上は、質問をしたこと自体が応募者の評価を下げる前提にはなっていません。ただし聞き方で印象は変わります。「御社の離職率はどのくらいですか」とだけ聞くより、「若者雇用促進法に基づく情報提供として、直近3事業年度の新卒採用者数と離職者数を教えていただけますか」のように具体的な粒度で求めると、企業側も答えやすくなります。
口コミサイトの離職率情報はどこまで信じていいですか
口コミの母集団に偏りがあることを前提に扱います。不満を持つ退職者が投稿しやすい性質上、ネガティブな口コミが相対的に多く表示される傾向があります。直近2年以内の投稿を中心に、複数サイトで同じ傾向が出ている情報を参照し、具体的な数字ではなく「論点の傾向」を把握する用途に向いています。
創業数年のスタートアップの離職率はどう調べればいいですか
創業3年未満の企業では、3年以内離職率そのものが成立しない期間があります。代わりに「創業からの退職者数」「現社員で最も長く在籍している人の年数」「創業時メンバーの残存率」を聞くと、組織の持続性が見えます。資金調達の履歴・直近のランウェイ(手元資金で何カ月運営できるか)も併せて確認するのが実務的です。
業種によって離職率は変わりますか
変わります。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(新しいタブで開きます)によれば、大卒3年以内離職率は宿泊業・飲食サービス業で56.6%、情報通信業で29.6%、製造業で24.0%です。業種の差は事業所規模の差と同じかそれ以上に大きく出るため、志望企業の業種が全体平均のどこに位置するかを押さえた上で、個別企業の数字を確認する流れが実務的です。
事業所規模別の離職率とベンチャーの離職率は同じ意味ですか
同じ意味ではありません。事業所規模別の数値は「規模の小さい事業所の平均」で、ベンチャー以外の小規模事業所(町工場・個人商店など)も含まれます。社員数千人のメガベンチャーは1,000人以上の区分に入り、創業数年のスタートアップは5人未満や5~29人の区分に入ることが多くなります。規模別の平均が、志望ベンチャー個社に当てはまる保証はないという前提で読んでください。
離職率が低い会社は良い会社ですか
一概には言えません。離職率の低さは定着を示す一方で、退職の自由度が低く辞めるハードルが高い環境でも数字は低くなります。社員数が少なく母数の変動で数字がブレやすい場合もあります。離職理由・平均勤続年数・社員の年齢構成を併せて見ると、低さの背景が立体的に判断できます。
新卒の離職理由として多いのは何ですか
厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」(新しいタブで開きます)によれば、大卒で初めて勤務した会社を辞めた人が挙げた理由の上位は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」32.8%、「人間関係がよくなかった」25.7%、「賃金の条件がよくなかった」23.1%、「仕事が自分に合わない」23.1%(3つまでの複数回答)です。労働時間と賃金を合わせると、辞めた理由の多くが「働き方の条件」に関わります。
まとめ
ベンチャー企業の離職率は、「ベンチャー」というカテゴリで集計された公的データが存在しないため、事業所規模別・業種別の統計と、志望企業個社の数字を組み合わせて判断します。数字だけでは「辞めた理由」が見えないため、面接で聞くときは数字と背景を併せて求める姿勢が有効です。
要点は次の5つです。
- 「ベンチャーの離職率」を示す公的統計は存在しない。厚労省の統計は事業所規模別・業種別の集計
- 大卒の3年以内離職率は全体33.8%、事業所規模別では1,000人以上27.0%、30~99人41.9%、5人未満57.5%(令和4年3月卒業者・2025年10月24日公表)
- 志望企業個社の数字は、若者雇用促進法に基づく職場情報(新卒採用者数・離職者数の3年分)を企業に請求するのが最も直接的な方法
- 面接では「直近3年の新卒採用者数と離職者数」「辞めた人の進路」など、数字と理由を分けて聞く
- 離職率は単体では判断材料にならない。平均勤続年数・退職理由・事業の段階と併せて見る
次のアクションは、志望企業が複数ある場合は大手とベンチャーの両方に内定したときの決め方の4軸で優先順位を整理し、1社に絞られている場合はベンチャー企業の見極め方で入社前に確かめる項目を一覧化するところです。離職率の数字を他の判断軸と組み合わせることで、数字に振り回されずに自分の判断基準で選ぶ準備が整います。
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