ベンチャーは社長で選ぶ、新卒が経営者を見る5つのポイントと確かめ方

ベンチャー就活で社長を見るとき、新卒が確かめたい5つのポイント(ビジョン、事業と資金、採用への関与、情報公開、組織づくり)と、公式サイト・IR・SNS・カジュアル面談で裏取りする手順を公的データと合わせて解説します。
先に結論
- ベンチャーでは社長の判断が組織全体に直結しやすいため、会社を選ぶときに社長を1つの軸として見ておく価値があります
- 新卒が社長を見るときの観点は、①ビジョン・ミッション ②事業と資金の説明 ③採用・現場への関与 ④情報公開の姿勢 ⑤組織と権限の設計の5つに分けられます
- カリスマ性や発信量だけで判断せず、公式サイト・IR・プレスリリース・社長本人のSNSなどの公開情報と、カジュアル面談での直接確認を突き合わせて確かめます
- 日本政策金融公庫の調査(公庫融資先の開業後1年以内企業)では、開業時の平均従業者数は2.8人(経営者本人を含む)。少人数で始まる会社では社長の比重が大きくなりやすく、フェーズ(創業期・成長期・上場後)で見る項目が変わります
- 社長が合わないと感じた理由を言語化できていれば、同じ業界の他社や、別のフェーズのベンチャーと比べ直す判断材料になります
この記事で分かること
- ベンチャーで「社長を見る」とはどういうことか、何が判断に影響するか
- 新卒が社長を見る5つのポイントと、それぞれ何を確かめるか
- 公開情報(公式サイト・IR・SNS)で社長を調べる手順
- カジュアル面談・会社説明会で社長に直接確かめるときの質問
- フェーズ別(創業期・成長期・上場後メガベンチャー)の見方の違い
志望企業の社長について調べた内容を一緒に整理し、「どの5つのうち何が決め手なのか」を言語化できます
なぜベンチャーでは社長を見ることが重要か
社長の意思決定が会社全体に直接響きやすい
ベンチャーでは、人数が少ないほど社長の判断が組織全体の方針・待遇・事業内容に直結します。 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」によると、開業時の平均従業者数は2.8人(経営者本人を含む)、開業費用の平均は975万円、中央値は600万円でした。少人数の組織では、採用方針・給与テーブル・事業の方向転換を社長が1人で決めることが多く、その判断の良し悪しが入社後の働き方に直接影響します。
| 開業時データ | 数値 | 対象 |
|---|---|---|
| 開業時の平均従業者数(経営者本人を含む) | 2.8人 | 公庫融資を受け開業後1年以内の企業(回答2,165社) |
| 開業費用(平均/中央値) | 平均975万円/中央値600万円 | 同上 |
| 開業時の平均年齢 | 43.9歳(調査開始以来の最高)、29歳以下は7.0% | 同上 |
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査(新しいタブで開きます)」(2025年12月5日公表/日本政策金融公庫の融資を受け開業後1年以内の企業、回答2,165社)
この数値の読み方として2点補足します。1つ目は、この調査は公庫融資先のため、VC出資型のスタートアップやベンチャー・スタートアップ全体を代表するものではない点。2つ目は、開業時のデータであり、新卒が入社する時点の規模とは限らないという点です。それでも、少人数で始まる会社では社長の判断の比重が大きくなりやすい、ということを示す参考値として扱えます。
大手と比べて何が違うか
大手企業では、採用・配属・給与・人事評価の運用が制度化されており、社長個人の判断で変わる余地は限られています。一方、ベンチャーでは次の3点で社長の関与が大きくなりがちです。
- 採用の意思決定:面接官や最終判断に社長本人が入ることが多い
- 事業方針の変更:ピボット(事業内容の転換)の判断が社長の決断で早く動く
- 評価・待遇の設計:給与テーブル・評価制度の初期設計を社長が主導する
大手とベンチャーの判断軸全体を見直したい人は、ベンチャーと大手はどっちがいいかで1社目を選ぶ順番として整理しています。社長を見る視点は、その中の判断材料の1つです。
「社長で選ぶ」の意味の幅
「社長で選ぶ」と言っても、カリスマ性や発信量に惹かれるかどうかで判断するという意味ではありません。 公表されている方針・事業計画・情報公開の姿勢・組織づくりの考え方を、就活生が自分の軸で評価するという意味です。見るポイントを分解しないままだと、社長個人の魅力に流され、入社後に「イメージと違った」となりやすくなります。
ミニFAQ
社長を見るのと、事業や職種を見るのは、どちらを優先すればいいですか。 どちらか一方ではなく、両方の軸で確かめます。社長の方針が気に入っても、事業が成長していなければ待遇や挑戦の機会は限定的になります。逆に事業が面白くても、社長の判断の軸が揺れると、入社後に方針変更に振り回される可能性があります。本記事では社長を見る5つのポイントに絞って扱いますが、事業面はベンチャー企業の見極め方で6要素に分けて書いています。
新卒が社長を見る5つのポイント
社長を見るとき、新卒が確かめたい観点は次の5つに整理できます。 1項目ずつ、公開情報で何をどう見るかを分けています。
| 項目 | 具体的に見る内容 | 情報源の例 |
|---|---|---|
| ①ビジョン・ミッション | 事業で何を解決しようとしているか/創業の背景 | 代表メッセージ、公式ブログ、創業ストーリー、インタビュー |
| ②事業と資金の説明 | 事業モデル、収益源、資金調達の履歴 | コーポレートサイト、プレスリリース、資金調達報道、IR資料(上場時) |
| ③採用・現場への関与 | 面接への同席、現場メンバーへの関わり | 採用ページ、社員インタビュー、カジュアル面談 |
| ④情報公開の姿勢 | 良いこと・悪いこと両方を発信しているか | SNS、オウンドメディア、プレスリリースの頻度と中身 |
| ⑤組織と権限の設計 | 権限委譲の有無、評価制度、組織図 | 採用ページ、求人票、カジュアル面談、社員発信 |
①ビジョン・ミッション
社長が事業で何を解決しようとしているか、創業の背景を自分の言葉で言えるかを確かめます。 公式サイトの代表メッセージや、創業ストーリーのインタビューに、創業時の課題意識・現在の到達点・次の段階が書かれていることが多くあります。
言葉の美しさで判断せず、次の3点を確かめます。
- 創業時の課題意識が具体的に書かれているか(抽象論だけで終わっていないか)
- 事業内容と、掲げているミッションが結びついているか
- 「社会課題を解決」のような一般的な言葉だけで止まっていないか
内閣官房のスタートアップ育成5か年計画(新しいタブで開きます)(2022年11月28日決定)では、スタートアップ数を約16,100社(2021年)から約25,000社に増やす方針が示されました。社会課題を解決するスタートアップが数多く生まれている中で、「どの社会課題を、どう解きに行くのか」が社長ごとに差が出る領域です。
②事業と資金の説明
社長が、自社の事業モデル・収益源・資金調達状況を分かりやすく説明しているかを見ます。 コーポレートサイトの事業紹介ページ、プレスリリース、資金調達の報道で、お金の流れが追えるかを確かめます。
- 事業の収益源が1つなのか、複数なのか
- 直近の資金調達ラウンド(シード、シリーズA~D)と調達額が公表されているか
- 創業からの売上・従業員数の伸びがプレスリリースなどで示されているか
国内スタートアップの資金調達全体のトレンドは、株式会社ユーザベースのJapan Startup Finance(新しいタブで開きます)(2026年1月19日公表、2025年通年版)が、調達額7,613億円、調達社数2,700社(前年2,869社)と報告しています。市場全体で選別が進んでいる局面では、資金調達の状況や使い道を公表しているかどうかが、経営の透明性を測る1つの材料になります。公表しない方針の会社もあるため、「公表していない=悪い」とは断定できませんが、公表している会社は投資家・候補者への説明を重視している傾向があります。
事業モデルや資金調達の見方全般は、ベンチャー企業の見極め方で入社前に確かめる6要素として整理しています。
③採用・現場への関与
社長が採用の最終面接や現場メンバーとの対話に、どの程度直接関わっているかを見ます。 多くのベンチャーでは、最終面接に社長本人が出てくるケースがあります。これは選考の中身を社長が直接確かめているサインの1つです。
社長面接で見られる軸はベンチャー最終面接・社長面接で見られる3軸で、落ちる理由と対策を書いています。選考の立場からは「見られる側」ですが、同時に「社長を見る側」でもあります。質問・反応・フィードバックの出し方で、社長が人をどう見ているかが分かります。
社員インタビューを採用ページに載せている会社では、社長と社員の距離感がどう描かれているかを読み比べます。「意思決定が早い」「現場に降りてくる」といった記述が、どの程度具体的な事例を伴って書かれているかを見ます。
④情報公開の姿勢
社長が良いことだけでなく、課題や失敗も発信しているかを確かめます。 SNS、オウンドメディア、プレスリリースの中身で、情報公開の姿勢が分かります。
- プレスリリースが成果報告ばかりで、挑戦の中身や課題への向き合いが見えないか
- SNSでの発信が、採用アピールの一方通行で終わっていないか
- 事業の方針転換(ピボット)があったとき、理由を社内外に説明しているか
厚生労働省の若者雇用促進法に基づく職場情報の提供制度(新しいタブで開きます)では、新卒応募者から求めがあれば、企業は「募集・採用に関する状況」「職業能力の開発・向上に関する取組」「職場への定着の促進に関する取組」の3類型について情報提供する義務があります。この制度は会社全体に対する法的義務ですが、社長が普段から情報公開にどう向き合っているかは、応募後にこれらの情報提供を求めたときの対応を予想する手がかりになります。
⑤組織と権限の設計
社長が現場に権限を委ねているか、評価制度を言語化しているかを見ます。 カリスマ型で全てを社長が決める会社と、権限委譲を進めて組織で動かす会社では、新卒の働き方が変わります。
- 役員構成が社長1人なのか、CTO・COO・CFOなど役割分担があるのか
- 評価制度・給与テーブルが社内で公開されているか(カジュアル面談で聞ける)
- 新卒や若手に権限を任せた事例が、採用ページや社員発信で紹介されているか
権限委譲が進んでいる会社の方が無条件に良い、とは限りません。 創業初期は社長の決断スピードが事業推進に必要な時期で、権限委譲を急がない判断もあり得ます。入社時期の会社のフェーズと、自分が求める働き方が合うかを確かめる視点で見ます。

就活生
社長の発信を読んでいると「すごい人だな」と思って終わってしまい、自分の会社選びの判断にどう結びつけたらいいか分かりません。カリスマ性に惹かれているだけな気もして、不安になります。

ベンチャールーキーズ編集部
社長個人の魅力だけで会社を選ぶと、入社後に「社長はすごいけれど、自分のやりたいことや働き方とは合わなかった」となりやすくなります。本記事の5つのポイントは、社長の個人的魅力ではなく、事業・組織・情報公開の仕組みとして評価する軸です。公式サイトを読むとき、5つのうちどの項目について書かれているかをメモすると、「この会社の社長の何が自分に響いているのか」を言語化できます。
5つの中で特に自分が重視している軸が分かったら、ベンチャー適性診断(14問・約3分)で自分がどのタイプのベンチャーに合いやすいかを確かめる方法もあります。合否を保証するものではなく、志望企業と自分の相性を考える補助線として使えます。
社長を見る5つのポイントのうち、どれが自分の決め手なのかを言語化していきます
公開情報で社長を調べる4つのルート
①公式サイトの代表メッセージとコーポレート情報
最初に見るのは、公式サイトの代表メッセージ・会社概要・事業紹介です。 代表メッセージには創業の背景と現在のミッションが書かれていることが多く、会社概要には設立年・資本金・役員構成・従業員数が載っています。
- 設立年:創業からの年数で、会社のフェーズを概観する
- 役員構成:社長1人なのか、CTO・COO・CFOなどが揃っているか
- 事業紹介:事業内容が1つなのか、複数の柱があるのか
これらは、面接や説明会で深掘りする前の下調べとして全員が見ます。「サイトに書いてあること」の範囲で志望理由を話すと、志望度の低さと受け取られるため、下調べの出発点として扱います。
②プレスリリースとメディア記事
プレスリリースは、会社の資金調達・新サービス・組織変更などの発表の一次情報です。 PR TIMESや各社の公式サイトで、過去1~2年分を遡ります。発表の頻度・中身・テーマで、何に投資しているかが分かります。
メディア記事は、創業者インタビュー・事業の背景・社長の考え方を知る材料になります。ただし、取材先として取り上げられやすい社長とそうでない社長がおり、「取材が多い=良い社長」とは限りません。取材記事を読むときは、「書き手の切り口」と「社長本人の発言」を切り分けます。
③SNS・登壇動画・音声メディア
社長個人のXやnote、YouTubeチャンネル、Podcastなどで、日常の発信を見ます。 発信の頻度・テーマ・反応の仕方で、社長の考え方や関心領域が分かります。
- 発信の多くが採用アピールか、事業・業界・経営の話か
- 失敗や課題について書くときに、具体的な事例があるか、一般論で終わっているか
- フォロワーや同業者とのやり取りで、意見の違いをどう扱っているか
採用のためだけに発信している社長もいれば、業界への問題提起や自社の失敗談を書く社長もいます。どちらが良い悪いではなく、自分が働きたい会社の社長はどちらのタイプかを考える材料になります。
④カジュアル面談と会社説明会
カジュアル面談や会社説明会で、社長や経営陣に直接質問できる機会があるかを確認します。 公開情報では分からない部分(評価制度、権限委譲の実態、新卒の配属)を、質問の形で確かめます。
質問の設計はカジュアル面談で新卒が聞くべき質問で、見極めの4つの軸として書いています。社長に向けて質問するときは、公式サイトやSNSで調べて分かる内容を聞かず、「公開情報を読んだうえでの、追加の疑問」を聞くと、志望度の高さが伝わります。
社員の生の声も合わせて確かめたい場合は、ベンチャー社員へのOB訪問で、探し方と聞くべき4つの軸をまとめています。社長の発信と、現場メンバーの話に食い違いがないかを確かめる方法として有効です。
フェーズ別の社長の見方
社長の関与の仕方と、見るべき情報源は、会社のフェーズによって変わります。 新卒が応募する段階の規模を基準に、3つのフェーズに分けて整理します。下の表は制度上の分類ではなく、本記事で社長の関与度を考えるための便宜上の目安です。
| フェーズ | 従業員規模の目安 | 社長の主な関与 | 主な情報源 |
|---|---|---|---|
| 創業期・アーリー期 | 30人未満 | 事業・採用・評価の設計まで社長が主導 | 代表メッセージ、SNS、創業者インタビュー、カジュアル面談 |
| 成長期 | 30~300人 | 経営陣(CTO・COO・CFO)と役割分担、評価制度を整備 | 採用ページ、プレスリリース、資金調達報道、社員発信 |
| 上場後・メガベンチャー | 1,000人以上 | 制度・取締役会を通じて反映、個別選考への関与は限定的 | IR資料、有価証券報告書、中期経営計画、決算説明資料 |
創業期・アーリー期(従業員30人未満)
創業期の会社では、社長の判断がほぼ全ての領域に及びます。 日本政策金融公庫の調査で開業時の平均従業者数が2.8人であることを踏まえると、設立から数年の会社では、社長・共同創業者を含めても10人~30人程度の規模が多くなります。
- 事業方針の変更(ピボット)が頻繁に起こり得る
- 給与テーブル・評価制度がまだ整備中で、個別交渉になる場合がある
- 社長が1次面接から最終面接まで同席することも珍しくない
創業期の会社では、社長のビジョンへの共感度・事業の将来性に対する判断・ピボットがあったときに付いていけるかが、入社後の満足度に直結します。スタートアップ新卒のリスク5つで、アーリー期ならではの注意点と準備を書いています。
成長期(従業員30~300人)
シリーズB~Dの資金調達を経た成長期の会社では、組織が整い始め、社長以外の経営陣(CTO、COO、CFOなど)の役割が明確になってきます。 この段階では、社長以外の経営陣も見る対象に入ります。
- 社長の役割が、創業期の「全部やる」から「人・資金・方向性を決める」に変わる
- 評価制度・給与テーブルが整備され、公開されるようになる
- 新卒採用を本格化する会社と、まだ中途中心の会社に分かれる
上場後・メガベンチャー(従業員1,000人以上)
上場後やメガベンチャーの規模になると、社長の判断は制度や取締役会を通じて反映されます。 IR資料・有価証券報告書・決算説明資料で、経営方針・業績・ガバナンスが開示されており、社長個人の発信以上に、企業として説明責任を果たしている情報が増えます。
- 中期経営計画・決算説明資料で、社長が株主・社員・候補者にどう説明しているかが分かる
- 社長交代の履歴・内部昇格か外部招聘かで、組織の方針が見える
- 新卒採用の規模が大きく、社長が直接関与する選考は限定的になる
メガベンチャーの選考の難易度や内定者の傾向はメガベンチャー新卒の難易度で、3つの共通点と準備の順番を書いています。
社長の見方でよくある失敗と対策
失敗①:カリスマ性や発信量だけで判断する
社長の露出が多い会社ほど「良い会社」と感じやすくなります。 メディア取材が多い、SNSのフォロワーが多い、登壇が多いという事実は、経営の中身と直接結びつくわけではありません。発信は上手でも、組織づくりに課題を抱える会社もあります。
対策は、「発信の量」ではなく「中身」を見ることです。本記事の5つのポイントに沿って、どの軸で確かめられる発信なのかを分類すると、カリスマ性だけで判断しなくなります。
失敗②:自分の軸がない状態で共感してしまう
社長のビジョンや言葉に共感するためには、自分の軸が先に必要です。 「社会課題を解決したい」「本気の仲間と働きたい」のような言葉は、どの会社の社長も使います。自分が何を大事にしたいかが曖昧なままだと、どの社長の言葉にも「共感できる」と感じやすくなります。
対策として、就活の軸の作り方は就活の軸の決め方で3つの判断フレームとして書いています。軸ができた上で社長の言葉を聞くと、「共感できる」と「惹かれるけれど自分の軸とは違う」の線引きがつきやすくなります。
失敗③:1社の情報だけで判断する
1社の社長の発信だけを読むと、業界や企業規模の相場観が分からず、判断の軸がぶれやすくなります。 同じ業界の他社の社長、同じフェーズの他社の社長を複数見比べると、どの発信が珍しくてどの発信が業界では普通なのかが分かるようになります。
対策として、志望企業と似た事業領域の会社を3~5社リストアップして、同じ5つのポイントで比較する方法があります。ベンチャー企業の探し方で、就活サイト以外のルートまで含めた見つけ方を書いています。
社長を見るときのチェックリスト。 本記事の内容を踏まえて、次の5点が済んでいるかを確かめてください。
- 公式サイトの代表メッセージを読み、ビジョンと事業内容の結びつきを確かめた
- プレスリリースを過去1年分遡り、資金調達と新サービスの発表を見た
- 社長個人のSNS・登壇・インタビューを3件以上読み、発信の中身を分類した
- 役員構成と従業員数から、会社のフェーズと社長の関与度を見積もった
- カジュアル面談・会社説明会で、公開情報で分からない点を質問する準備をした
よくある質問
ベンチャーの社長を調べるには、まずどこから見ればいいですか。
最初は公式サイトの代表メッセージ・会社概要・事業紹介の3つです。 設立年・役員構成・従業員数で会社のフェーズを概観し、代表メッセージで創業の背景とミッションを確認します。その後、プレスリリースで資金調達の履歴、SNSや登壇で社長個人の発信、カジュアル面談で現場との距離感を順に確かめます。
SNSの発信量が多い社長は良い社長ですか。
発信量と経営の良し悪しは直接結びつきません。 露出が多い社長ほど注目されやすく、新卒からも「良い会社」と見られやすくなりますが、組織づくりに課題を抱える会社もあります。発信の「量」ではなく「中身」(事業・業界・経営・失敗の扱い方)を見ます。
社長が若い会社は不安ですか。
年齢そのものより、意思決定の軸・組織づくりの考え方を見ます。 日本政策金融公庫の調査では開業時の平均年齢は43.9歳で、29歳以下の起業家は7.0%でした。若い社長の会社に新卒で入ること自体は少数派ですが、不安を感じるなら本記事の5つのポイント(特に②事業と資金、⑤組織と権限)を他社と比べ、意思決定の実績がどこまで積まれているかを確かめてください。
社長に直接会える機会はありますか。
カジュアル面談・会社説明会・最終面接で会えるケースが多くあります。 創業期・アーリー期では1次面接から社長が同席することもあり、成長期以降は最終面接や社長面接の形で設定されます。ベンチャー最終面接・社長面接で、見られる3軸と準備の順番を書いています。
社長の過去の失敗歴は気にすべきですか。
事業の失敗歴そのものより、失敗の扱い方を見ます。 スタートアップでは複数回の起業や事業ピボットが珍しくなく、失敗歴があることだけで判断材料にはしにくい領域です。重要なのは、過去の失敗について公の場で説明しているか、学びを次の事業にどう活かしているかです。インタビューや登壇で語っている内容を読むと、失敗の整理の仕方が分かります。
社長以外の経営陣(CTO・COO・CFO)は見るべきですか。
フェーズによります。 創業期は社長1人の判断の比重が大きく、成長期以降はCTO・COO・CFOの役割分担が明確になってきます。シリーズB以降の資金調達をしている会社では、社長以外の経営陣の発信や経歴も確認すると、組織としての意思決定の仕組みが見えやすくなります。
社長のビジョンに共感しないと入社すべきではないですか。
「共感」の中身を具体的に見ます。 ビジョンの大枠に共感できなくても、事業内容・技術・顧客・待遇に魅力を感じて働ける会社もあります。一方で、創業期の会社では社長のビジョンへの共感度が入社後の働き方に強く影響します。会社のフェーズと、自分がどの軸で入社したいかの両方で判断します。
社長が採用に関わっていない会社はよくないですか。
規模によります。 従業員1,000人以上の会社では、新卒採用の全てに社長が関わるのは物理的に困難です。一方、30人未満の会社で社長が採用に全く関わっていないなら、理由を確かめる価値があります(事業に手一杯、人事に権限を委譲しているなど)。カジュアル面談で、「社長はどのくらい採用に関わっていますか」と質問してみる方法があります。
IR資料や有価証券報告書は読むべきですか。
上場企業なら読む価値があります。 中期経営計画・決算説明資料・有価証券報告書には、社長が株主・社員・候補者に対してどう説明しているかが書かれています。難しそうに感じても、「経営方針」「事業の状況」「対処すべき課題」のセクションだけでも読むと、社長の問題意識が分かります。未上場の会社では、プレスリリースやメディア記事で代替します。
社長を見て合わないと思ったら、入社をやめるべきですか。
合わないと思った理由を言語化してから判断します。 ①~⑤のどの観点で合わないのかを分けると、「合わない」の中身が見えてきます。価値観の方向性が違うなら他社を見直す理由になりますが、「カリスマ性に馴染めない」程度なら、事業や職種の魅力と重みを比べて判断します。ベンチャー企業の見極め方の6要素と合わせて、総合的に判断してください。
まとめ
ベンチャーで社長を見るのは、「カリスマ性で惚れ込む」ためではなく、会社を選ぶ軸の1つとして経営判断の中身を評価するためです。 発信量ではなく中身で、1社だけでなく複数社で比べて判断します。
- 社長を見る観点は、①ビジョン ②事業と資金 ③採用への関与 ④情報公開 ⑤組織づくりの5つ
- 公開情報の4ルート(公式サイト・プレスリリース/メディア・SNS/登壇・カジュアル面談)で突き合わせる
- 創業期は社長個人の影響が大きく、成長期以降は経営陣全体で見る
- カリスマ性・発信量・1社の情報だけで判断するのは失敗パターン
- 自分の軸があって初めて「共感できる社長」と「惹かれるが合わない社長」を線引きできる
次のアクションとして、志望企業(または候補企業)を3~5社リストアップし、本記事の5つのポイントを縦軸、企業名を横軸にした比較表を作ってみてください。比較表が埋まったら、ベンチャー企業の見極め方の事業面の6要素と合わせて、総合的な判断の材料として使えます。
迷っているうちに、一度整理しませんか
新卒採用の選考に携わってきたメンバーと、オンラインで30分。次の4つを相談できます。
ES添削 ― 選考する側の目で読み、伝わりにくいところを一緒に直す詳しく見る
面接対策 ― 面接で見られているポイントから、答え方を準備する詳しく見る
キャリア相談 ― 大手・ベンチャー・公務員など、どの道に進むかを比べながら整理する詳しく見る
自己分析の手伝い ― 自分に合う仕事や働き方を、これまでの経験から一緒に探す詳しく見る
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運営:株式会社ヘルスベイシス/ベンチャールーキーズ編集部
ベンチャールーキーズ編集部
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