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ベンチャーで成長できるのは本当か、新卒が伸びる会社と伸びない会社の差

公開 更新 この記事は約13分で読めます

ベンチャーで成長できるとは、新卒のうちから任される範囲が広く、早く一人前になれる環境を指して言われることが多い言葉です。ただ公的調査では、計画的なOJTを行う事業所の割合は規模が小さいほど低く、成長できるかは会社ごとに分かれます。伸びる会社の見分け方を整理します。

先に結論

  • 「ベンチャーなら成長できる」は条件つき。成長のしやすさは、「任される範囲」と「フィードバックの量」の両方がそろうかで決まる
  • 正社員に計画的なOJTを行った事業所は、30~49人の企業で44.4%、1,000人以上で78.4%。規模が小さいほど育成の仕組みが整っていない傾向がある(調査対象は30人以上の企業)
  • 人材育成に問題がある事業所は80.1%で、最も多い問題は「指導する人材が不足している」(59.5%)。規模に関係なく、教える人がいるかは確かめる価値がある
  • 任される範囲が広くてもフィードバックがなければ「放置」になりやすい。仕組みが整っていても任される範囲が狭ければ伸びにくい
  • 面接や説明会では「新卒1年目に任された仕事」と「誰から、どのくらいの頻度で振り返りを受けるか」を具体的に聞く

この記事で分かること

  • 「成長できる」を2つの要素に分ける考え方
  • 企業規模と育成の仕組み(OJT・研修)の関係(公的データ)
  • 新卒が伸びやすい会社に共通する5つの条件と、伸びにくい会社のサイン
  • 「成長できる」という言葉を、面接や説明会で確かめる質問
  • ベンチャーと大手で、成長の中身がどう違うか
  • 入社後に伸びる人がやっていること
  • 状況別(早く成長したい/研修がない会社から内定/放置されている)の考え方

志望する会社で成長できるかを、どこで判断すればいいか一緒に整理できます

「ベンチャーで成長できる」とは、どういう意味か

「成長できる環境」という言葉は、会社説明会でも就活サイトでもよく使われます。ただ、中身が語られないまま使われることが多い言葉です。まず、成長を2つの要素に分けます。

成長を「任される範囲」と「フィードバックの量」に分ける

フィードバックが多いフィードバックが少ない
任される範囲が広い伸びやすい。挑戦と振り返りが回る放置になりやすい。やり方が分からないまま進む
任される範囲が狭い基礎は身につくが、伸びるまで時間がかかる停滞しやすい。何ができるようになったか分かりにくい

「ベンチャーは成長できる」と言われるのは、左上になりやすいからです。ただ、任される範囲が広くても、振り返りの機会がなければ右上の「放置」になります。反対に、大手でも配属先によっては左上になることがあります。

企業規模と、育成の仕組み

厚生労働省の調査で、正社員に対して研修やOJTを行った事業所の割合を企業規模別に見ると、次のとおりです。

企業規模OFF-JT(職場を離れた研修)を正社員に実施計画的なOJT(職場での計画的な指導)を正社員に実施
30~49人53.0%44.4%
50~99人65.5%51.3%
100~299人79.6%70.4%
300~999人85.2%69.8%
1,000人以上85.4%78.4%

出典:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」(新しいタブで開きます)(2026年7月31日公表。常用労働者30人以上を雇用する事業所7,194か所を対象に、2025年10月1日時点で調査。有効回答率54.2%)。

規模が小さいほど、研修も計画的なOJTも実施している割合は低くなっています。なお、この調査は30人以上の企業が対象で、社員が30人に満たないスタートアップは含まれていません。

同じ調査では、計画的なOJTを実施した対象として「正社員の新入社員」を挙げた事業所は52.3%、OFF-JTでは58.7%でした(同調査の結果の概要(新しいタブで開きます))。

人材育成の問題点

人材育成に関する問題点(問題がある事業所、複数回答)割合
指導する人材が不足している59.5%
人材を育成しても辞めてしまう51.6%
人材育成を行う時間がない45.5%
鍛えがいのある人材が集まらない27.5%
育成を行うための金銭的余裕がない14.3%

出典:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」。能力開発や人材育成に何らかの問題があるとする事業所は80.1%でした。

2番目の「人材を育成しても辞めてしまう」は、新卒の離職率の数字とも重なります。大学を卒業して就職した人の3年以内離職率は、事業所の規模が1,000人以上で27.0%、30~99人で41.9%、5~29人で52.0%でした(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」2025年10月24日公表(新しいタブで開きます))。規模別の離職率は育成の仕組みだけで決まるものではありませんが、両者には関連がある可能性があります。少なくとも、入社前に育成の体制を確かめておくことには意味があります。

「教える人が足りない」「時間がない」は、規模の小さい企業に限らず多くの事業所が抱える問題です。どの会社を受ける場合も、誰が新卒に教えるのかを確かめる価値があります。

ミニFAQ:研修がない会社は、避けたほうがいいですか?

避けるべきとは限りません。まとまった研修がなくても、上司や先輩が日々の仕事の中で振り返りをしてくれる会社もあります。見るべきは研修の有無より、誰が、どのくらいの頻度でフィードバックをくれるかです。

新卒が伸びる会社・伸びない会社の差

伸びやすい会社に共通する5つの条件

条件確かめ方(面接・説明会で聞くこと)伸びやすい会社の答えの例
① 新卒に任せる仕事の範囲が決まっている「新卒1年目の人は、最初の3か月でどんな仕事をしていますか」担当する業務と、1人で任されるまでの目安が具体的に出てくる
② 振り返りの場が定期的にある「仕事の振り返りは、誰と、どのくらいの頻度で行いますか」週1回の上司との面談など、頻度と相手が決まっている
③ 教える役割の人がいる「新卒には、教える担当の先輩がつきますか」担当者が決まっていて、その人の業務にも教える時間が含まれている
④ 失敗したときの扱いが決まっている「新卒が失敗したとき、どう対応していますか」失敗を振り返りの材料にする仕組みがある
⑤ 任せる範囲を段階的に広げる「2年目、3年目の人は、どんな仕事をしていますか」年次ごとに任される範囲が広がっている例が出てくる

5つとも、答えが具体的かどうかで判断できます。「若手でも裁量があります」「成長できる環境です」といった抽象的な答えしか返ってこない場合は、もう一段具体的に聞いてみてください。

伸びにくい会社のサイン

  • 新卒1年目の具体的な仕事の例が出てこない
  • 「自分で考えて動ける人が活躍しています」という答えだけで、支える仕組みの話が出ない
  • 教える担当が決まっていない、または教える人がいつも忙しすぎる
  • 若手の話を聞こうとしても、入社1~2年目の社員に会う機会がない
  • 辞めた人がどんな理由で辞めたかについて、説明がない

どれか1つに当てはまるから悪い会社、というわけではありません。当てはまる数が多いほど、入社後に「放置」される可能性を考えておく必要があります。

「成長できる」という言葉を確かめる質問

面接の逆質問や、説明会の座談会で使える質問です。

  • 「新卒1年目で、いちばん大きな仕事を任された人は、どんな仕事でしたか」
  • 「入社して半年で、できるようになることは何ですか」
  • 「成長が早い若手に、共通していることは何ですか」
  • 「逆に、伸び悩んだ若手には、どんな理由がありましたか」

逆質問の考え方は28卒の面接対策でも整理しています。秋冬のインターンに参加できる場合は、参加中に社員へ直接聞くこともできます(28卒の秋冬インターンはどう選ぶか)。

ミニFAQ:「若手に裁量がある」は、信じていいのですか?

言葉だけで判断せず、中身を確かめてください。「裁量がある」が、任される範囲が広いという意味なのか、教える人がいないという意味なのかで、入社後の経験はまったく違います。①と②の質問で、両方を確かめるのが確実です。

ベンチャーと大手で、成長の中身は何が違うか

「ベンチャーのほうが成長できる」「大手のほうが基礎が身につく」とよく言われます。どちらも一部は当てはまりますが、成長の中身が違うと考えるほうが実態に近くなります。

成長の中身の違い

観点ベンチャーで起きやすいこと大手で起きやすいこと
任される範囲人数が少ないぶん、1人が担当する範囲が広くなりやすい役割が細かく分かれ、担当範囲が絞られやすい
育成の仕組み企業によって差が大きい。仕組みがある企業もある研修や計画的なOJTを行う割合が高い傾向
学べる相手経営者や少人数のチームと近い距離で働ける同じ職種の先輩や同期が多く、比べながら学べる
身につきやすいこと幅広い業務を回す力、変化への対応1つの職種の専門性、大きな組織での調整
起きやすいつまずき教える人が忙しく、振り返りが少ない任される範囲が狭く、手応えを感じにくい

どちらが上ということではありません。自分が1社目で身につけたいものがどちらに近いかで選ぶことになります。大手とベンチャーの比べ方はベンチャーと大手はどっちがいいかで整理しています。

ベンチャーの段階によっても違う

段階社員数の目安新卒の成長で起きやすいこと
創業間もない段階数人~数十人任される範囲は非常に広いが、教える仕組みはほぼない
事業が伸びている段階数十人~数百人任される範囲は広く、育成の仕組みを作り始めている企業も多い
メガベンチャー数百人~数千人以上大手に近い仕組みを持ちつつ、新規事業に関われる機会がある企業もある

社員数の目安は、あくまで一般的な傾向です。同じ段階でも、会社によって育成への力の入れ方は違います。

就活生

「ベンチャーは成長できる」って、結局みんなが言ってるだけなんですか?

ベンチャールーキーズ編集部

言葉だけが先に広まっている面はあります。ただ、成長しやすい条件ははっきりしています。任される範囲が広いことと、振り返りの機会が多いことの2つです。

正社員に計画的なOJTを行う事業所は、30~49人の企業で44.4%、1,000人以上で78.4%でした。規模が小さいほど任される範囲は広くなりやすい一方、教える仕組みは整っていないことが多いと考えられます。ベンチャーを選ぶなら、「誰から、どのくらいの頻度で振り返りを受けられるか」を入社前に確かめてください。

志望する会社が「成長できる環境」かどうか、何を聞けば判断できるかを一緒に考えられます

入社後に伸びる人がやっていること

会社の環境に加えて、入社後の動き方でも伸び方は変わります。どの会社に入っても使える3つを紹介します。

振り返りを自分から取りに行く

振り返りの場が少ない会社でも、自分から「今週の仕事で直したほうがいい点はありますか」と聞くことで、フィードバックの量を増やせます。先輩が忙しい場合は、週に1回5分だけでも時間をもらう方法があります。

任された範囲を言葉にする

「何を任されていて、何は任されていないか」を、上司と確認しておきます。範囲があいまいなままだと、手を出していいのか迷い、動けなくなります。

3か月ごとに、できるようになったことを書き出す

成長は、毎日では実感しにくいものです。3か月ごとに「できるようになったこと」と「まだできないこと」を書き出すと、伸びているかどうかが分かり、次に何を任せてほしいかも伝えやすくなります。書き出した内容は、将来転職する場合にも役立ちます(ベンチャーから転職はできるのか)。

状況別の考え方

ケース1:早く成長したいから、ベンチャーに行きたい

その考え方自体は、ベンチャーを選ぶ理由として自然です。ただ「早く成長したい」だけでは、会社を比べられません。何ができるようになりたいのか(売る力か、企画する力か、事業を回す力か)まで決めると、志望する会社で本当にそれが得られるかを確かめられます。起業を見据えている場合は起業したい学生はベンチャーに就職すべきかも参考になります。

ケース2:研修がないベンチャーから内定をもらった

研修がないこと自体より、振り返りの仕組みと教える人の有無を確認してください。内定者として社員と話す機会があれば、新卒1年目の人に「最初の3か月で誰から何を教わったか」を聞くのが確実です。

ケース3:大手に行くと、成長できないのではと不安

大手でも、配属先によっては早くから大きな仕事を任されることがあります。大手は研修や計画的なOJTを行う割合が高く、基礎を固めながら伸びる道もあります。配属先ごとの違いを、面接や座談会で確かめてください。

ケース4:入社したが、放置されていると感じる

まず、任されている範囲と、分からないことを上司に確認してください。そのうえで振り返りの時間を自分から頼みます。それでも改善しない場合は、社内で相談できる人を探すこと、将来の選択肢を考えておくことも大切です。

よくある失敗と対策

失敗なぜ起きるか対策
「成長できる環境」という言葉だけで会社を選ぶ言葉の中身を確かめていない任される範囲とフィードバックの量を、具体的な質問で確かめる
研修の有無だけで判断する研修=育成の仕組みだと考える研修より、日々の振り返りの頻度と相手を聞く
任される範囲の広さだけを見る裁量が大きいほど成長できると考える教える人と振り返りの場があるかもあわせて確認する
入社後、振り返りを待ち続けるフィードバックは会社がくれるものだと考える自分から振り返りの時間を取りに行く

会社を選ぶ前のチェックリスト

  • 新卒1年目の人が、最初の3か月でしている仕事を聞いた
  • 振り返りの頻度と、相手を聞いた
  • 新卒に教える担当の人がいるかを確認した
  • 2年目・3年目の人がしている仕事の例を聞いた
  • 入社1~2年目の社員と話す機会をつくった
  • 自分が1社目で「何ができるようになりたいか」を言葉にした

よくある質問

新卒でベンチャーに入ると、本当に成長できますか?

条件がそろえば、成長しやすい環境になります。条件とは、任される範囲が広いことと、振り返り(フィードバック)の機会が十分にあることの2つです。どちらかが欠けると、成長を実感しにくくなります。

ベンチャーには研修がないと聞きますが、本当ですか?

会社によります。厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」(2026年7月公表)では、正社員にOFF-JT(職場を離れた研修)を行った事業所は、30~49人の企業で53.0%、1,000人以上で85.4%でした。規模が小さいほど低い傾向がありますが、研修がある小規模な企業もあります。

大手とベンチャー、どちらが成長できますか?

成長の中身が違います。ベンチャーは任される範囲が広くなりやすく、幅広い業務を回す力が身につきやすい傾向があります。大手は研修や計画的なOJTが整っている割合が高く、1つの職種の専門性を固めやすい傾向があります。

「成長できる環境」かどうかは、どうやって見分ければいいですか?

「新卒1年目の人は、最初の3か月で何をしていますか」「振り返りは誰と、どのくらいの頻度で行いますか」と具体的に聞いてください。答えが具体的に返ってくる会社ほど、新卒の育成を意識していると判断できます。

ベンチャーで放置されるのが不安です

放置が起きやすいのは、任される範囲が広いのに、教える人や振り返りの場がない会社です。入社前に、新卒に教える担当の人がいるか、振り返りの頻度はどのくらいかを確認しておくと、不安を小さくできます。

OJTとOFF-JTの違いは何ですか?

OJTは、日々の仕事をしながら上司や先輩から教わる育成の方法です。OFF-JTは、通常の仕事を一時的に離れて受ける研修のことです。厚生労働省の調査では、計画的に行われるOJTを「計画的なOJT」と呼んでいます。

若いうちから裁量があるのは、いいことですか?

いいことになるかどうかは、支える仕組みしだいです。裁量が大きくても、振り返りの機会がなければ、何が良くて何が悪かったのか分からないまま進むことになります。裁量の大きさと、フィードバックの量をセットで確かめてください。

ベンチャーで成長できなかったら、どうなりますか?

社内で役割や部署を変える、上司に相談して任される範囲を調整してもらう、といった方法があります。そのうえで合わない場合は、転職という選択肢もあります。その場合も、任された仕事とできるようになったことを説明できると、次に進みやすくなります。

成長するために、入社前にやっておくことはありますか?

1社目で何ができるようになりたいかを、言葉にしておくことです。売る力、企画する力、事業を回す力など、目標が決まっていると、入社後に何を任せてほしいかを上司に伝えやすくなります。

「成長できる」と説明会で言われたら、何を聞けばいいですか?

「新卒1年目で、いちばん大きな仕事を任された人は、どんな仕事でしたか」「成長が早い若手に共通していることは何ですか」など、具体的な例を聞く質問が向いています。答えの具体性で、言葉の中身を確かめられます。

まとめ

この記事の要点
  • 「ベンチャーなら成長できる」は条件つき。任される範囲とフィードバックの量の両方がそろうかで決まる
  • 正社員に計画的なOJTを行った事業所は、30~49人の企業で44.4%、1,000人以上で78.4%。規模が小さいほど育成の仕組みは整っていない傾向がある
  • 人材育成で最も多い問題は「指導する人材が不足している」(59.5%)。どの会社でも、誰が教えるのかを確かめる
  • 伸びやすい会社は、任せる仕事の範囲・振り返りの場・教える人・失敗の扱い・段階的な任せ方が具体的
  • ベンチャーと大手では、成長の中身が違う。1社目で身につけたいものに近いほうを選ぶ
  • 入社後は、振り返りを自分から取りに行き、3か月ごとにできるようになったことを書き出す

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ベンチャールーキーズ編集部
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