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内定と入社後

ベンチャーの内定取り消しは起こるか、倒産・業績悪化のときの対処と相談先

公開 更新 この記事は約16分で読めます

ベンチャーの内定取り消しとは、採用内定が成立したあとに企業側の都合で入社予定を解除することで、判例上は解雇に準じて扱われます。倒産・業績悪化で通知が来たときの手順、補償の目安、新卒応援ハローワークへの相談、内定前に経営リスクを見極める方法を整理します。

先に結論

  • 新卒の内定は、判例上「始期付解約権留保付労働契約」として成立していると解されており、企業が自由に取り消せるものではありません(最高裁 1979年 大日本印刷事件)
  • 2026年3月新卒者の採用内定取消しは29事業所・80人(厚生労働省の集計)で、前年の21事業所・34人より増えています。確率は低いままですが、ゼロではありません
  • 通知を受けたら、①書面で理由を確認→②新卒応援ハローワークに相談→③補償の交渉→④再就活の進路設計の順で動きます。初動は電話1本から始められます
  • 補償金に法定の一律基準はありません。実務上は入社予定日からの給与相当額や実費をもとに個別交渉されますが、金額は事案で大きく変わります。倒産による取り消しは企業名公表の対象から外れる場合があり、交渉の難易度が上がります
  • 内定前に経営リスクを下げるには、資金調達の時点・直近の業績開示・親会社の有無・固定費の重さの4点を確認します

この記事で分かること

  • 新卒の内定が法律・判例上どう扱われるか(内定・内々定の違い)
  • 2026年3月卒の内定取消し人数と、ベンチャーで起こる場面の典型
  • 業績悪化・倒産・事業再編それぞれで何が起きるか
  • 通知を受けたときの4段階の対処手順と、相談できる公的窓口
  • 補償金の目安と交渉の進め方、企業名公表の仕組み
  • 内定前にベンチャーの経営リスクを見極める4つのチェック
  • ケース別の考え方(第1志望1社/複数内定の片方/承諾後・入社直前)

内定取り消しの通知を受けたときや、承諾後に会社の資金状況が不安になったとき、動く順番と再就活の進路設計をキャリア相談で一緒に組み立てられます。

内定取り消しは法律上どう扱われるか

ベンチャーの内定取り消しも、大企業の内定取り消しと同じ枠組みで判断されます。先に法律と判例の整理を押さえると、通知を受けたときに「泣き寝入りしか選べない」という誤解を避けられます。企業の規模ではなく、内定が「労働契約として成立しているか」で結論が変わります。

内定成立の法的な意味

採用内定は、判例上「始期付解約権留保付労働契約」の成立と解されています(最高裁 1979年 大日本印刷事件判決)。入社日という始期が付き、企業側に一定の解約権が留保されているものの、労働契約そのものは成立しているという整理です。したがって、企業の都合で自由に取り消せるわけではありません。

内定を取り消すときに企業が示す理由は、労働契約の解除として「客観的に合理的で、社会通念上相当」であることが求められます(労働契約法16条の解雇ルールの考え方が、留保解約権の行使にも準用されるのが実務の整理)。業績悪化や採用人数の見積り違いだけで取り消す主張は、裁判で退けられる例があります。

内々定と内定の違い

内々定は、正式な内定通知の前に出される採用の約束で、労働契約が成立しているとは限らないと整理されます。ただし、通知が具体的で、企業側から「問題なく採用する」と繰り返し説明していたような場合は、労働契約が成立するだろうという期待の侵害として慰謝料が認められた裁判例もあります(コーセーアールイー事件・福岡高裁 2011年3月10日判決では、内々定取消しについて期待利益の侵害が認められ、慰謝料50万円の支払いが命じられました)。

内定・内々定の線引きは、書面の有無・内定式参加の指示・入社書類の提出有無で判断されます。ベンチャーの早期選考では「内々定」で止まったまま入社まで進む会社もあり、どの段階にいるのかを自分でも把握しておきます。

入社後の解雇や雇い止めとの違い

内定取り消しは入社前の時点で起きるもので、入社後の整理解雇や試用期間満了での本採用拒否とは、手続きの段階が違います。入社後に経営悪化で退職を求められる状況は、別の制度(整理解雇の4要素)で判断されます。入社直後の試用期間での本採用拒否も、採用内定より広い裁量が認められるとは言われますが、合理的な理由を欠く場合は違法とされ得ます。

時点名称法的な整理
選考終盤内々定期待権の問題(損害賠償の対象になり得る)
内定通知後~入社前内定取り消し留保解約権の行使(合理性・相当性が必要)
入社後の試用期間中本採用拒否留保解約権の行使(内定より広い裁量と整理されるが、合理性は必要)
入社後解雇労働契約法16条(整理解雇は4要素で判断)

出典:最高裁 1979年7月20日 大日本印刷事件判決/労働契約法第16条(厚生労働省)

ベンチャー企業で内定取り消しが起こる場面

ベンチャーで内定取り消しが起きる引き金は、業績悪化・倒産・事業再編の3つに大きく分かれます。大企業と比べて確率が高い場面と、同じ確率で起きる場面を分けて見ます。

業績悪化・資金ショートと事業再編

ベンチャー企業の多くはベンチャーキャピタル等からの資金調達でキャッシュを回しています。次回の調達ラウンドが想定どおりに進まない、既存投資家から追加出資が得られない、売上の立ち上がりが計画を下回る、といった状況が重なると、採用人数を圧縮せざるを得ない場面が出てきます。

  • M&Aで買収され、親会社の方針で採用凍結になるケース
  • 主力事業の撤退で配属予定部署がなくなるケース
  • 調達ラウンドの条件変更で採用計画が白紙になるケース

業績悪化を理由にした新卒内定(または内々定)の一方的な取り消しは、裁判で違法と判断された裁判例があります(前掲のコーセーアールイー事件 福岡高裁 2011年3月10日判決など)。企業側に「経済事情の悪化は内定通知の時点ですでに存在していた」といった事情があると、合理性が否定されやすくなります。

倒産(破産・民事再生・会社更生)

倒産に至った場合、会社の存続自体が難しくなり、採用計画が白紙になります。倒産による内定取り消しは、企業名公表の対象から外れる場合があるため、公表リストでは見つからないことがあります(職業安定法施行規則第17条の4の運用)。

倒産後は、破産管財人や再生計画に沿って手続きが進むため、交渉相手が会社の人事担当者から管財人へ切り替わります。採用担当者と連絡が取れなくなる場面もあり、裁判所の案内に沿って債権届を出す流れになるケースもあります。

大手と比べて確率は高いのか

厚生労働省の「令和8年3月新卒者採用内定取消し等の状況(新しいタブで開きます)」(2026年8月28日発表)によると、2026年3月新卒者の採用内定取消しは全国で29事業所・80人でした。参考として、2025年3月新卒者の採用内定取消しは21事業所・34人で、事業所数で8増、人数で46人増加しています。

対象事業所数人数
2026年3月新卒者(取消し)2980
2025年3月新卒者(取消し)2134
2026年3月新卒者(入職時期繰下げ)22

出典:厚生労働省 人材開発統括官付「令和8年3月新卒者採用内定取消し等の状況」(2026年8月28日発表/職業安定法施行規則第35条第2項により通知された分の集計)

数字自体は、2026年3月の大学・短大・高校等の新卒就職者数(数十万人規模)と比べれば小さく、確率としては高いとは言えません。ただし、企業規模別の内訳は公表資料に明示されていないため、「ベンチャーだから多い」「大手だから少ない」と断定できる数値ではありません。関連論点はベンチャー企業の見極め方とスタートアップ新卒のリスクでも扱っています。

内定取り消しの通知が来たときの手順

通知が届いたときの初動が遅れると、補償交渉の余地と再就活の時間の両方が狭くなります。4つのステップに分けて進めます。

STEP1・2 書面での理由確認と公的窓口への相談

電話やメールで取り消しの連絡が来たら、まず「文書で正式な通知を出してほしい」と求めます。口頭だけで済まされると、後で「取り消しではなく辞退を促した」と反論される可能性があります。文書は、通知日・取り消しの理由・補償の方針・問い合わせ窓口が書かれていることを確認します。

同時に、自分の手元に残っている書類(内定通知書・労働条件通知書・入社承諾書・内定式の案内メール等)を1つのフォルダに集めておきます。相談と交渉の両方で、どの時点でどんな約束があったかを示す材料になります。

全国に56か所ある新卒応援ハローワーク(新しいタブで開きます)(2026年10月時点の厚生労働省ページによる)には、内定取り消しなど学生の進路に関わる案件を扱う窓口があります。大学等の卒業予定者と、卒業後おおむね3年以内の人まで利用できます(公的機関のサービスのため費用はかかりません)。所在地は全国の新卒応援ハローワーク所在地一覧(新しいタブで開きます)で調べられます。

企業側の通知が届いた日時・内容・補償の提示をメモにして持参すると、必要な手続き(企業への指導要請、求人紹介、就活再開の支援)を一度に相談できます。大学のキャリアセンターでも並行して相談し、どちらが主たる窓口になるかを決めると動きやすくなります。

STEP3・4 補償金の交渉と再就活の設計

内定取り消しによる補償は、法令で金額が決まっているわけではなく、個別の交渉で決まります。実務上は入社予定日からの給与相当額や、内定取り消しに伴って発生した実費を根拠に交渉されることがありますが、金額は事案ごとに大きく変わります。倒産している場合は、債権として届け出る形になり、全額の回収は難しい傾向があります。

項目内容
補償の性質法令で金額規定はない。個別交渉
交渉の根拠になりうるもの入社予定日からの給与相当額、取り消しに伴う実費(引越し・住居契約金等)、精神的苦痛に対する慰謝料
相談先都道府県労働局 総合労働相談コーナー(費用なし)/弁護士(初回面談を費用なしで設ける事務所もある)
倒産時破産管財人への債権届出。配当手続のなかで扱われ、満額の回収は難しい

出典:裁判例(コーセーアールイー事件 福岡高裁 2011年3月10日判決:内々定取消しで慰謝料50万円)、民法627条1項、職業安定法施行規則第17条の4/各種補償金の金額は事案ごとに異なり、本記事の記述は特定の金額を保証するものではありません。

通知を受けた時期によって、使える選考ルートが変わります。年明け以降の時期であれば、二次募集・通年採用・既卒向けの枠を含めて探すことになります。既卒応募の枠組みは既卒でもベンチャーに新卒として応募できるかでまとめています。新卒応援ハローワークの求人紹介に加え、就活エージェントの既卒・第二新卒枠、大学のキャリアセンターの個別紹介を並行して使うのが現実的です。

就活生

内定取り消しの通知を受けたら、どの順番で動けばいいのか分からなくて、頭が真っ白になりそうです。

ベンチャールーキーズ編集部

最初の数日は、書面で理由を確認することと、新卒応援ハローワークへの電話予約の2つだけに絞って構いません。補償金の交渉と再就活のスケジュール設計は、相談窓口と話した後の方が進めやすくなります。

ひとりで企業と対話するのが不安なら、大学のキャリアセンターと新卒応援ハローワークの両方に先に話を入れて、「次の連絡はこの窓口にも共有する」と企業に伝えておく進め方があります。会社側に「第三者が入っている」と認識してもらうこと自体が、交渉の落ち着き所に影響します。

通知が来てからの初動の整理、企業との連絡文面、再就活のスケジュール設計まで、キャリア相談で一緒に組み立てられます。

承諾後・入社直前の取り消しは何が違うか

承諾書を出した後の取り消しも、法律上の整理は同じです。企業側に合理的で相当な理由が求められる点は変わりません。ただし、入社日に近づくほど、自分の側で「他社の選考を断っている」「引越しを済ませている」といった状況が重なるため、実損の立証がしやすくなります。

入社直前の取り消しで交渉材料になる実費

入社直前(たとえば3月中旬~下旬)の取り消しでは、引越し費用・住居の契約金・入社準備で退職したアルバイトの逸失利益といった実費が交渉の材料になります。領収書やメールのやり取りは残しておきます。

  • 引越し業者の見積書・領収書
  • 新居の契約金(敷金・礼金・仲介手数料)
  • 退職したアルバイト先の給与明細(逸失利益の算出根拠)
  • 入社準備で購入したスーツ・PC・書籍の領収書

入社した後に会社の経営状態が悪化し、本採用拒否や退職勧奨を受ける状況は、内定取り消しとは別の制度で判断されます。入社直後に起きうることはベンチャー新卒1年目で起きることでまとめています。会社から退職を促される場合も、応じるかどうかは本人の判断で、強要されるものではありません。

内定前にベンチャーの経営リスクを見極める方法

内定取り消しの確率を事前にゼロにはできませんが、入る会社の経営状態を把握しておくと、通知が来たときに驚かずに動けます。4つの軸で確かめます。

資金調達と直近の業績開示

ベンチャー企業の資金は、エクイティ(株式)とデット(借入)で構成されます。直近の資金調達から時間が経ちすぎている(目安として18~24か月以上更新がない)会社は、次のラウンドが差し迫っている可能性があります。資金調達の履歴はINITIAL(スピーダ スタートアップ情報リサーチ)(新しいタブで開きます)やSTARTUP DBといった民間データベースで公開範囲を調べられます。公的データとしては、スタートアップ全体の調達市場の動向はVEC(ベンチャーエンタープライズセンター)のベンチャー白書(新しいタブで開きます)でも読めます。

上場している会社であれば、EDINET(有価証券報告書・四半期報告書)で売上・利益・キャッシュフローを確認できます。非上場でも、官報の決算公告や、プレスリリースの開示から判断材料を集められます。非上場ベンチャーの業績・将来性の見方は非上場ベンチャーの業績や将来性を就活生が調べる方法で扱います。

親会社・大株主の有無

親会社がある子会社型のベンチャーや、大企業が過半を出資しているスタートアップでは、親会社の経営方針で採用計画が変わることがあります。カジュアル面談や内定後面談で「過去3年間、採用人数と計画人数のズレはどのくらいありますか」と聞いてもよい場面です。質問の作り方はカジュアル面談で新卒が聞くべき質問でまとめています。

固定費の重さと黒字化の時期

人件費の比率が高い・オフィスの賃料が重い・広告宣伝費を売上の半分近く投下しているような会社は、調達が止まった瞬間にキャッシュが細りやすい構造です。会社説明会で黒字化の時期(単月黒字化のメド)を質問すると、計画の解像度が分かります。「わからない」「後で答える」と繰り返される場合は、投資家向け説明と採用向け説明で情報が揃っていない可能性があります。

自分がベンチャーの不安定さをどこまで許容できるかを確かめたいときは、ベンチャー適性診断(14問・約3分)で、安定性に対する自分の考え方を整理できます。

ケース別解説

第1志望1社だけ内定を受け、辞退済みの時期に取り消しが来たとき

他社の選考をすでに辞退している場合、通年採用・二次募集・既卒応募の枠に絞って再就活を進めます。年明け以降の時期であれば、新卒応援ハローワークと大学キャリアセンターの両方で求人紹介を受けつつ、就活エージェントの新卒枠にも登録します。進路の判断軸は就活の軸の決め方で整理できます。

複数内定のうちベンチャー側が取り消しになったとき

もう一方の内定先への切り替えがスムーズですが、承諾書の提出先が変わるため、残っている内定先に早めに意思を伝えます。取り消し側の会社に補償を求めるかどうかは別途判断します。

承諾後、入社予定の2~3か月前に取り消しが来たとき

引越し・退寮・入社準備で発生する実費が大きいため、領収書・メール履歴を全て保存し、補償交渉で実損を提示します。並行して、既卒向けの通年採用に登録し、短期の派遣・アルバイトで生活費を確保しながら就活する判断が必要になる場合もあります。

よくある失敗と対策

  • 口頭だけで取り消しに応じて、書面を残さない → 文書での通知を求める。メールでも証跡は残る
  • 自分から「辞退します」と伝えてしまう → 自己都合扱いになり補償交渉の立場が弱くなる。「会社側の取り消しなのか」を書面で確認してから対応を決める
  • 相談せず1人で抱え込む → 新卒応援ハローワーク・大学キャリアセンター・労働局の総合労働相談コーナーは費用なしで利用できる
  • 補償交渉だけに時間をかけて再就活を後回しにする → 補償と再就活は並行して進める。時期が遅れると求人の選択肢が狭くなる
  • 「ベンチャーだから仕方ない」と諦める → 判例上、ベンチャーだから内定取り消しが認められる理屈はない。企業規模ではなく個別の合理性で判断される

よくある質問

内定取り消しをされたらどこに最初に相談すればいいですか。

新卒応援ハローワーク(新しいタブで開きます)が費用なしで利用できます。全国に56か所あり(2026年10月時点の厚生労働省ページによる)、卒業後おおむね3年以内まで利用できます。並行して大学のキャリアセンターにも相談しておくと、2つの窓口で情報が共有されやすくなります。

内定取り消しの企業名は公表されますか。

企業名の公表は、職業安定法施行規則第17条の4に基づき、厚生労働大臣が定める場合に該当するときに行われます。倒産により翌年度の募集または採用が行われないことが確実な場合は、原則として公表対象から除外される運用です。公表リストは厚生労働省のサイトで検索できます。

補償金はどれくらいもらえますか。

法令で金額規定はありません。実務上は入社予定日からの給与相当額・引越し等の実費・慰謝料が交渉の根拠になりますが、金額は事案ごとに大きく変わります。倒産している場合は、破産管財人への債権届出を経て配当を待つ形になり、満額の回収は難しくなります。

内々定を取り消されたときも労働契約として争えますか。

内々定だけでは労働契約の成立が否定されるのが原則ですが、通知の具体性・企業側の説明次第で「期待権」の侵害として慰謝料が認められる場合があります(過去の裁判例では慰謝料50万円の支払いが命じられた例があります)。弁護士に相談する価値があります。

ベンチャーだと内定取り消しの確率が明らかに高いのですか。

厚生労働省の公表資料では企業規模別の内訳が明示されていないため、確率を数値で断定するのは難しいです。ベンチャー特有のリスク要因(単一事業への依存、資金調達の失敗)が重なる場面はありますが、個社の経営状況を見て判断します。

自分がベンチャー向きかどうか、再就活の前に確かめる方法はありますか。

ベンチャー適性診断(14問・約3分)で、安定性・裁量・意思決定の速さに対する自分の考え方を整理できます。再就活の軸を立てるときの出発点として使えます。

内定取り消し後にブランクを空けると不利になりますか。

既卒応募の枠を使えば、新卒とほぼ同じ条件で再就活できる会社があります。既卒応募の仕組みと通りやすくする準備は既卒でもベンチャーに新卒として応募できるかでまとめています。空白期間については、取り消しの経緯を事実ベースで説明すれば不利になりにくい傾向があります。

取り消しが来た会社に対して訴訟を起こすのは現実的ですか。

訴訟は時間と費用がかかるため、慎重な判断が必要です。先に労働局の総合労働相談コーナーや弁護士の初回面談で、争う材料があるか・補償交渉で解決できる見込みかを確認します。会社が破産手続に入っている場合は、個別の通常訴訟での回収が難しくなり、破産管財人への債権届出と配当手続のなかで扱われるのが原則になります。

承諾後に自分から辞退する場合と、会社から取り消される場合では何が違いますか。

自分からの辞退は民法627条1項により2週間前の申し入れで解約できるのが原則ですが、補償を求める立場にはなりません。会社からの取り消しは解雇に準じて扱われ、合理性を欠く場合は補償・損害賠償の対象になり得ます。文書で「どちらなのか」を明確にすることが重要です。関連判断は内定承諾で迷うときの判断順で扱います。

ベンチャーに内定が出ているが、取り消しが怖くて承諾を保留しています。どう判断すればいいですか。

承諾の保留は、企業に理由を伝えたうえで一定期間の延長を交渉できます。保留している間に、資金調達の時点・直近の業績・親会社の有無・固定費の重さの4軸で経営状態を確認します。それでも不安が残るなら、別の内定を優先する判断もあります。ベンチャーと大手はどっちがいいかの判断軸と組み合わせて整理できます。

まとめ

ベンチャーの内定取り消しは、起こる確率は高くないものの、通知を受けたときの初動で補償と再就活の両方の余地が決まります。企業規模ではなく、内定が労働契約として成立しているかで判断されるため、「ベンチャーだから仕方ない」と諦める理由にはなりません。

  • 新卒の内定は判例上、始期付解約権留保付労働契約として成立しており、企業は合理的で相当な理由がなければ取り消せない
  • 2026年3月新卒者の取消しは29事業所・80人で、前年より増えているが確率としては低い
  • 通知を受けたら、書面確認→新卒応援ハローワーク相談→補償交渉→再就活設計の4段階で動く
  • 承諾書を出した後も、入社直前も、法律上の整理は同じ。自分から「辞退します」と伝える前に、文書での確認を優先する
  • 内定前の経営リスクは、資金調達の時点・直近の業績開示・親会社の有無・固定費の重さの4軸で見られる

次のステップとして、内定取り消しの通知が実際に来た人は、新卒応援ハローワークの最寄り窓口に電話で予約を入れること、まだ承諾していない人は、資金調達と業績の公開情報を1時間で確認することから始められます。関連する判断はベンチャーと大手はどっちがいいか、新卒の1社目を決める判断の順番、ベンチャーの安定性はどうなのか、ベンチャーの離職率はどう見るかでも扱っています。

運営:株式会社ヘルスベイシス/ベンチャールーキーズ編集部

スタートアップファーストキャリア企業の見極め入社後のリアル

ベンチャールーキーズ編集部
公的機関や調査会社が公表しているデータをもとに記事を作成しています。ES添削・面接対策などの相談には、新卒採用の選考に携わってきたメンバーが対応します。

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