ベンチャー営業はきついのか、新卒の仕事内容と身につく力・見極め方

ベンチャーの新卒営業が「きつい」と言われる中身は、ノルマ・新規開拓の量・育成の薄さなど6つに分かれます。仕事内容、大手との違い、業界差、身につく力、入社前の見極め方を、公的データと一緒に28卒就活生向けに整理します。
先に結論
- 「ベンチャー営業がきつい」の中身は、ノルマの重さ・新規開拓の量・育成の薄さ・個人成績の可視化・残業の多さ・失注のストレスの6つに分けられます
- 事業領域で「きつさ」は大きく変わります。人材・不動産・広告の飛び込み中心のビジネスと、SaaS・技術商材のインサイドセールスでは、1日の進め方が別物です
- 厚生労働省の令和7年度能力開発基本調査では、30~49人の企業で計画的なOJTを行った事業所の割合は44.4%で、1,000人以上の78.4%より明らかに低い水準です
- 向いているのは、短サイクルの成果と振り返りを楽しめる人・顧客の課題を言語化するのが好きな人。向いていないのは、個人成績の順位付けに消耗しやすい人
- 身につく力は、ヒアリング・仮説立案・数値管理・プレゼン・関係構築の5つ。転職・独立のベースにもなります
- 入社前に見極めるには、固定残業代の内訳・新卒の初年度離職率・1日の予定・直近1年の退職者数の4点を聞くのが現実的です
この記事で分かること
- 「ベンチャー営業がきつい」の中身を6つに分けて、自分がどこを不安に感じているか特定できます
- ベンチャー営業の仕事内容と1日の流れ、大手との違いが分かります
- 業界・事業モデルによる「きつさ」の濃淡と、やわらぎやすい領域が分かります
- 新卒がベンチャー営業で身につけやすい5つの力が分かります
- 向いている人・向いていない人の特徴と、入社前に確認する4つのポイントを持ち帰れます
- 入社後に「きつい」と感じたときの選択肢(2週間の自己調整→部署異動→転職)が分かります
自分がベンチャーの営業に向いているかを、強み・性格から整理したい就活生向けに、自己分析の手伝いをしています。
ベンチャー営業が「きつい」と言われる6つの中身
結論から言うと、「ベンチャー営業はきつい」は複数の意味がまとまった言葉で、分解すると自分の不安の正体が見えてきます。
「きつい」の中身を6つに分解する
就活生がベンチャー営業について「きつい」と話す中身は、観察する限り次の6つが混ざっています。
| 要素 | 具体例 | きついと感じやすい人 |
|---|---|---|
| ノルマの重さ | 月次・四半期の目標が明確、未達が連続すると面談が増える | 目標の達成状況が常に見られる環境に消耗しやすい人 |
| 新規開拓の量 | テレアポ、飛び込み、メール営業、SNSからのアプローチ | 面識のない相手への連絡そのものが心理的負担になる人 |
| 育成の薄さ | 入社直後からロールプレイで実戦、OJTが短い | 事前にじっくり学んでから現場に出たい人 |
| 個人成績の可視化 | 日次の受注・商談数が社内Slackや朝会で共有される | 他人と比べられる環境でパフォーマンスが落ちる人 |
| 残業の多さ | 繁忙期や期末に業務時間が伸びやすい | 業務時間を一定に保ちたい人 |
| 失注のストレス | 継続していた商談が最後に流れる経験が繰り返される | 結果が自分の努力と直結しない状況に落ち込みやすい人 |
※ 公的統計ではなく、ベンチャールーキーズ編集部が、就活生向けのキャリア相談で出やすい不安をもとに作成した仮説的な6分類です。相談件数・時期の母集団を集計したものではないため、志望企業の判断では、面談・OB訪問・公的データと照合してください。
6つのうち、自分がどれに引っかかっているかを分けると、避ける企業の範囲も、入社前に確認すべき質問も具体化できます。「全部きつい」と「新規開拓だけがきつい」では、選び方が変わります。
なお「きつい」はネガティブな語ですが、短サイクルで振り返りが回る環境は、入社直後の成長スピードが速くなりやすい側面もあります。ベンチャーで成長できるのは本当か、新卒が伸びる会社と伸びない会社の差で、成長の中身を「任される範囲」と「フィードバックの量」に分けて整理しました。「きつさ」と「成長」はトレードオフになっている部分があります。
ベンチャー営業の仕事内容と1日の流れ
結論、ベンチャー営業は「新規顧客の開拓」と「既存顧客への提案」が中心で、1日の多くを顧客との接点に充てます。
新卒が任されやすい業務
ベンチャーの営業職は、企業や事業の規模によって業務の切り方が違いますが、新卒が任されやすい業務を公開情報の範囲で整理すると、おおむね次のとおりです。
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| リスト作成 | 商品・サービスのターゲットになる企業・担当者のリストを作る |
| アプローチ | 電話・メール・DMで初回の接点を作る(アポイント獲得) |
| 商談 | 担当者を訪問またはオンラインで、課題のヒアリング・提案を行う |
| 提案書作成 | ヒアリング内容に合わせて、提案書・見積書を作成する |
| クロージング | 導入条件の調整、契約手続きのサポート |
| フォロー | 契約後の活用支援、追加提案のきっかけづくり |
厚生労働省の職業分類では、営業職は「販売の職業」のうち「商品販売の職業」や「営業の職業」に分類されています。業務の中身は職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag(新しいタブで開きます)(厚生労働省)に職種別の説明がまとめられています。ただしjob tagの数値は賃金構造基本統計調査などを職種単位で加工したもので、「ベンチャーの営業職の値」ではない点に注意してください。
1日の進め方の例
アーリー期のBtoBスタートアップの新卒営業を想定した、1日の進め方の一例です。会社や事業内容で中身は大きく変わります。
| 時間帯 | 内容 |
|---|---|
| 9:00~9:30 | 朝会(全員の進捗を共有、本日の商談予定の確認) |
| 9:30~11:00 | リスト作成、メール送付、インサイドセールスからの引き継ぎ確認 |
| 11:00~12:00 | オンライン商談①(初回ヒアリング) |
| 13:00~14:30 | 商談メモの整理、提案書の作成 |
| 14:30~16:00 | オンライン商談②(提案) |
| 16:00~17:30 | 社内ミーティング、翌日の商談準備 |
| 17:30~18:30 | 日報作成、CRM(顧客管理ツール)への入力 |
※ ベンチャールーキーズ編集部が、BtoB SaaS系ベンチャー数社の新卒向け採用ページ・社員ブログに公開された記述を参考に整理した一例です。会社・時期・事業内容により異なります。
繁忙期や期末は、提案書作成・契約調整が時間外に伸びる場合があります。業務時間の見通しについては、企業に残業時間の目安を事前に確認するのが現実的です。

就活生
ベンチャーの営業って、1日中電話をかけているイメージがあります。全部がそんな感じなんでしょうか。

ベンチャールーキーズ編集部
事業領域と商品単価で、1日の中身は大きく変わります。1件数万円の商材をBtoCで売る会社では、電話・飛び込みの量が多めになりやすい傾向があります。一方で、1件数百万円以上のBtoB SaaS・システム導入のような会社では、インサイドセールス(内勤でアポイントを取る部隊)が別に置かれていて、新卒のフィールドセールスが商談と提案書作成に時間を使う構造が多くなっています。採用ページで「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」のどの職種で募集しているかを見ると、1日の進め方がある程度イメージできます。
志望している会社の営業がどんな働き方になりそうかを、採用ページや公開情報を一緒に読み解きたいときは、キャリア相談で対応しています。
大手の営業とベンチャーの営業では、何が違うか
結論、大手は分業と専門性、ベンチャーは個人の裁量と範囲の広さに特徴があります。
業務範囲・育成・ツールの違い
| 項目 | 大手の営業 | ベンチャーの営業 |
|---|---|---|
| 業務範囲 | リスト作成・インサイド・フィールド・カスタマーサクセスで分業が進んでいる傾向 | 1人が複数の工程を担当するケースが多い |
| 新人育成 | 集合研修(数週間~数か月)+配属後OJTが整っていることが多い | OJT中心、商材理解と並行して顧客対応に入る会社が多い |
| 商材 | 既存の実績・ブランドで入りやすい | 新しい商材で、認知度ゼロから説明が必要 |
| ツール | SalesforceなどのCRMが既に導入・運用されている | ツール選定や運用ルールの整備が未完な会社もある |
| 顧客の意思決定 | 大企業・公共が多く、決裁プロセスが長い | ベンチャーでも大企業相手の場合もあるが、スモールビジネス相手の商談も多い |
※ ベンチャールーキーズ編集部が、就活生向け採用情報と各社の公開記事を参考に整理した観点です。会社数の集計ではないため、志望企業の判断では個別に確認してください。
厚生労働省の令和7年度能力開発基本調査では、正社員に計画的なOJTを実施した事業所の割合は、30~49人で44.4%、100~299人で70.4%、1,000人以上で78.4%でした(調査対象は常用労働者30人以上の企業7,194事業所。2025年10月1日時点、2026年7月31日公表)。規模が小さい会社ほど、育成の仕組みが整っていない傾向があります(出典:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」(新しいタブで開きます))。
大手とベンチャーのどちらを選ぶかの判断軸そのものは、ベンチャーと大手はどっちがいいか、新卒の1社目を決める判断の順番に整理しました。
ただ、近年のメガベンチャー(1,000人以上の規模)は、新卒研修・配属前の集合研修を整えている会社が多くなっています。「ベンチャー」でひとまとめにせず、企業規模と事業領域で見ることが大切です。ベンチャーの職種一覧、新卒で就ける7つの仕事と配属が決まる仕組みで、ベンチャーの職種区分と配属の決まり方を整理しています。
業界・事業モデルで、「きつさ」はどこまで変わるか
結論、業界と事業モデルで、新卒営業の負荷と1日の進め方は別物になります。
業界ごとの傾向
| 業界・事業モデル | 営業の傾向 | 「きつさ」の濃淡 |
|---|---|---|
| 人材・不動産・広告(BtoB/BtoC) | 新規開拓中心、個人成績の可視化、歩合給の設計 | 短期的な数字のプレッシャーが大きめ |
| 保険・金融商品(BtoC) | 既存顧客からの紹介+新規開拓の両輪 | ノルマと知人への営業の負担が重なるケースあり |
| BtoB SaaS・業務ツール | インサイドセールスとフィールドセールスの分業、商談中心 | 1件の商談時間が長く、資料準備の負担がある |
| 技術商材・システム導入 | 技術担当者との同行、課題の深いヒアリング | 商材理解の学習負担が大きい |
| 製造・メーカー系ベンチャー | 既存取引先への提案と新規開拓の混在 | 業務量は平準化しやすい傾向 |
| 医療・教育系SaaS | 専門領域の知識が必要、長期の商談 | 商談ペースは落ち着きやすい |
※ ベンチャールーキーズ編集部が、就活生向け採用情報と各社の公開記事を参考に整理した観点です。業界内でも会社ごとに差があるため、志望企業の判断では、カジュアル面談・OB訪問で裏取りしてください。
「飛び込みで新規開拓中心」の会社と「インサイドセールスから引き継いだ商談中心」の会社では、同じ「ベンチャーの営業」でも日常の負荷が大きく違います。採用ページでの職種名(インサイドセールス/フィールドセールス/カスタマーサクセス)、担当商材、1件あたりの単価の3つを合わせて見ると、業務の中身がある程度予測できます。
参考として、厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」(令和4年3月卒)によると、新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は33.8%です。事業所規模別に見ると、5人未満57.5%、5~29人52.0%、30~99人41.9%、100~499人33.9%、500~999人31.5%、1,000人以上27.0%でした(出典:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」(新しいタブで開きます)、2025年10月24日公表)。この数値は事業所規模別で、「ベンチャー」の区分ではありません。ただ、小規模な事業所ほど離職率が高い傾向はデータで確認できます。産業別で高いのは宿泊業・飲食サービス業(55.4%)、生活関連サービス業・娯楽業(54.7%)で、情報通信業は27.2%でした。離職率そのものの見方は、ベンチャーの離職率はどう見るか、公的データの読み方と面接での質問で整理しました。
ベンチャー営業で新卒が身につく5つの力
結論、ベンチャー営業の経験は、職種を問わず汎用性が高い5つの力を早いサイクルで身につけやすい環境です。
5つの力の中身
| 身につく力 | 具体的な場面 |
|---|---|
| ヒアリング力 | 顧客の課題を言葉で引き出し、何に困っているかを明確にする |
| 仮説立案 | 商材と顧客の課題を接続し、どの切り口で提案するかを設計する |
| 数値管理 | 商談数・受注率・単価・LTV(顧客生涯価値)を自分で追う |
| プレゼン・資料作成 | ヒアリング内容を踏まえた提案資料を作成し、意思決定者に説明する |
| 関係構築 | 長期的に顧客と関係を保ち、追加提案のきっかけを作る |
これらの力は、営業職の中だけでなく、企画・マーケティング・コンサルティング・事業開発などの職種への転職や、将来の起業の場面でもベースとして使えます。ベンチャーのマーケティング職に新卒で就くには、求められる経験と準備の順番で、営業経験からマーケティングに広げるキャリアの道筋についても触れています。
ベンチャー営業で成長が早いと言われる理由は、商談ごとに「仮説→実行→振り返り」のサイクルが短く回りやすいことです。1日に数件の商談を行う会社では、受注・失注の理由を1日のうちに言語化し、翌日の商談で検証できます。これは、業務時間の多くを事前準備に充てる職種では得にくい経験です。ただし、短サイクルの振り返りが回るのは「フィードバックを受ける仕組み」がある会社に限ります。先輩営業の商談同席、1on1の頻度、商談メモの共有ルールが整っていない会社では、「数をこなしているが振り返りがない」状態になりやすい点に注意してください。
向いている人・向いていない人の特徴
結論、短サイクルの成果と振り返りを楽しめる人は向いていて、個人成績の順位付けに消耗しやすい人は向いていない傾向があります。
向いている人の特徴
- 課題を言葉で整理するのが好きで、人の話を引き出すのが苦ではない
- 数字が増減する環境に飽きにくく、短サイクルで達成感を得たい
- 失注の理由を冷静に振り返り、次に活かすことができる
- 顧客との関係づくりを長期で楽しめる
- 新しい商材・市場を学ぶ姿勢がある
向いていない人の特徴
- 個人成績の順位付けや、朝会での名指しの進捗確認に強いストレスを感じる
- 業務時間と業務外時間を明確に分けたい(繁忙期の変動が大きいため)
- 面識のない相手への連絡そのものを強く避けたい
- 事前にじっくり学んでから現場に出たい
- 他人と比べられる環境でパフォーマンスが落ちる
自分がどちら寄りかを言語化するには、ベンチャー適性診断(14問・約3分)で志向の方向を整理してから、志望企業の採用ページを読むと、確かめるポイントが絞りやすくなります。向き不向きそのものについての詳しい整理は、ベンチャーに向いてる人・向いてない人、新卒が自分で判断する4つの軸で書いています。
なお営業に向いていなくても、ベンチャーのエンジニア・バックオフィス・マーケティング・カスタマーサクセスなど、他の職種で活きる場面もあります。1社目で「どんな仕事をしたいか」よりも、まず「何なら続けられそうか」で絞ると、職種の選択肢が広がります。「ノリ」や社風との相性については、ベンチャーのノリがきついか不安な人へ、社風を見極める5つの方法にまとめました。
入社前にきつさを見極める4つのポイント
結論、「きつさ」は会社ごとに違うため、入社前に4つのポイントを面談・採用ページで確認するのが現実的です。
1. 固定残業代の内訳
求人票に「固定残業代」が記載されている場合、職業安定法に基づく指針では、①固定残業代を除いた基本給の額、②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、③固定残業時間を超える時間外・休日・深夜労働に割増賃金を追加で支払う旨の3点をすべて明示することが求められています(出典:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」(新しいタブで開きます))。固定残業代は「一定時間分の残業代をあらかじめ月給に含める設計」で、実際の残業時間がその時間数前後になるとは限りません。たとえば月40時間相当の固定残業代が設定されている会社は、少なくともその時間数分の残業代を月給に含めて提示している、という意味です。実際の業務時間を見るには、平均残業時間と繁忙期の残業時間を別途確認してください。
2. 新卒の初年度・3年以内の離職率
若者雇用促進法では、企業は求めがあれば、①募集・採用に関する状況(新卒採用者数・離職者数など)、②職業能力の開発・向上に関する取組(研修など)、③職場への定着の促進に関する取組(月平均所定外労働時間、有給取得日数など)の3類型について、各類型から1つ以上の情報を提供する義務があります(出典:厚生労働省「職場情報の提供制度」(新しいタブで開きます))。新卒の初年度離職率と3年以内離職率を聞くと、育成の仕組みの運用度合いが見えやすくなります。
3. 新卒入社直後の1日の予定
採用ページや面接で「新卒入社直後の1日の過ごし方」を聞くと、朝会の有無・商談数・残業時間の目安・インサイドセールスとフィールドセールスの分業の有無がある程度わかります。「人による」としか返ってこない会社は、情報開示の文化が弱い可能性があります。
4. 直近1年の退職者数と退職理由の傾向
直近1年で退職した営業職の人数と、退職者が多かった時期(繁忙期・期末など)を聞くと、「きつさ」の実態が見えやすくなります。退職理由を細かく聞きすぎると個人情報に触れるため、「主な理由として多かった傾向」までで止めます。
企業の労働環境を自分で調べるときに使える公的なサイトは、しょくばらぼ(職場情報総合サイト)(新しいタブで開きます)(厚生労働省。掲載企業数152,380件、2026年10月1日時点)、ユースエール認定企業の一覧(新しいタブで開きます)(厚生労働大臣が「若者の採用・育成に積極的な中小企業」として認定した企業の一覧。制度ページによると、認定基準は新卒等正社員の3年以内離職率20%以下、月平均所定外労働時間20時間以下、有給取得率70%以上または年平均10日以上。2024年9月末時点で1,329社)、職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag(新しいタブで開きます)(職種ごとの仕事内容・必要なスキル・労働条件の目安)の3つです。掲載がない企業は、しょくばらぼ・ユースエールとも企業の自主登録・認定のため、未掲載自体がマイナス材料にはなりません。登録・認定がある会社は、情報開示・育成の運用に前向きと受け取るのが安全です。カジュアル面談そのものの進め方はカジュアル面談で新卒が聞くべき質問、ベンチャーを見極める4つの軸と準備で、OB・OG訪問の方法はベンチャー社員へのOB訪問、探し方7つと聞くべき4つの軸と注意点で整理しています。
入社後に「きつい」と感じたらどうするか
結論、転職を即決する前に、2週間程度の自己調整と部署異動の相談という選択肢があります。
違和感を言語化してから判断する
社会人としての最初の年は、学生時代と環境が大きく変わるため、ベンチャーに限らず違和感を持つのが一般的です。厚生労働省の「若年者雇用実態調査」(令和5年)では、若年労働者(15~34歳)が初めて勤務した会社を辞めた理由(3つまで回答)のうち、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が28.5%、「人間関係がよくなかった」が26.4%で上位を占めています(出典:厚生労働省「若年者雇用実態調査(令和5年)」(新しいタブで開きます)、令和6年9月25日公表。常用労働者5人以上の事業所と、そこで働く若年労働者が対象で、新卒に限った数値ではない点に注意)。「違和感=退職」ではなく、「違和感の中身を言語化してから判断する」順番が、長期で見ると後悔が少なくなります。
2週間→部署異動→転職の順で選択肢を試す
強い違和感を持ったときは、まず2週間程度の自己調整期間を自分の中で設け、本記事の6分類(ノルマ/新規開拓/育成/可視化/残業/失注)のどれが引っかかっているかを書き出します。2週間で解消しない場合、中堅ベンチャー・メガベンチャー規模(社員数300人以上)であれば、入社後の後半や2年目に部署異動の相談ができる会社があります。全社員30人以下の会社では部署そのものが少ないため、異動の選択肢は限られます。
自己調整と部署異動の相談を試しても解消しない場合、転職は現実的な選択肢の一つです。新卒で入った会社を3年以内に辞めた人の割合は33.8%(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」、令和4年3月卒)で、特別な決断ではありません。ただし、就職後1年未満で辞めた場合は転職市場での評価が下がる可能性もあるため、辞めるタイミングと理由の言語化は重要です。関連の整理はベンチャーを3年以内に辞める人と辞めない人の差、入社前後に見ておく4つに書きました。相談先としては、社内の人事部、大学のキャリアセンター(卒業後も相談可能なところが多い)、新卒応援ハローワーク(新しいタブで開きます)(卒業後おおむね3年以内まで費用の負担なく使える公的窓口。全国で56か所、2026年10月時点の厚労省ページによる)があります。
よくある質問
ベンチャーの新卒営業の初年度の年収はどれくらいですか
会社の規模・業界・固定残業代の設計で変わります。参考として、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、大学卒の新規学卒者の賃金(男女計、2025年6月分の所定内給与額)は262.3千円でした(出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(新しいタブで開きます)、令和8年3月24日公表)。この数値は所定内給与額で、残業代・賞与を含みません。固定残業代込みで提示される求人の月給とは、そのまま比べられない点に注意してください。対象は常用労働者10人以上の民営事業所です。年収・待遇の見方はベンチャーの年収は上がらないのか、昇給の仕組みと評価制度の見方で整理しました。
歩合給の割合が大きい会社は、新卒には厳しいですか
歩合給の割合が大きい会社は、成果が給与に直結する一方、安定した基本給は少なくなる設計です。入社直後は成果が出にくい時期があるため、基本給だけで最低限の生活ができるかを事前に確認するのが現実的です。固定残業代の内訳と基本給の額(本文の「入社前にきつさを見極める4つのポイント」参照)を面談で確認してください。
「ノルマがない」と採用ページに書かれている会社は、本当にノルマがないのですか
「ノルマ」という言葉を使っていなくても、月次・四半期の目標設定がある会社は多くあります。「目標値はあるか」「未達が続くとどうなるか」の2点を具体的に聞くと、呼び名ではなく実態がわかります。
営業の経験は、将来転職するときに有利ですか
営業経験は、企画・マーケティング・コンサルティング・事業開発・採用などの職種で活きる場面があります。厚生労働省の令和7年転職者実態調査では、今後3年間に転職者を採用する予定の事業所のうち「転職者を優先して採用したい」は40.0%で、「新規学卒者を優先して採用したい」の9.8%を大きく上回っています(出典:厚生労働省「令和7年転職者実態調査」(新しいタブで開きます)、令和8年9月25日公表)。中途市場では即戦力を求める企業が多く、営業で成果を出した経験はアピールの材料になります。
インサイドセールスとフィールドセールスは、どちらが新卒向きですか
人によります。インサイドセールス(内勤でアポイントを取る職種)は、電話・メールでの初回接点が中心で、1日に多くの件数をこなします。フィールドセールス(商談を担当する職種)は、1件あたりの商談時間が長く、提案書の作成に時間を使います。短サイクルで数をこなしたい人はインサイドセールス、1件の商談を深く掘りたい人はフィールドセールスが向きやすい傾向があります。
「体育会系出身じゃないと、ベンチャー営業は無理」は本当ですか
事実ではありません。会社の文化は業界・事業領域・創業者の属性で大きく異なります。SaaS・BtoB・技術商材のベンチャーは、営業色よりプロダクト色が強い組織もあります。「ベンチャー=体育会系」のイメージは、人材・不動産・広告系の飛び込み中心のビジネスで形成された部分が大きく、現在のベンチャー全体を代表しているわけではありません。
大学で営業の経験がなくても、新卒でベンチャー営業に応募できますか
応募できます。多くのベンチャーは、営業未経験の新卒を前提に募集しています。採用で見られるのは、ヒアリング力・言語化・学習意欲などの基礎的な力で、過去の営業経験そのものではありません。志望動機や自己PRの作り方はベンチャー向けの自己PRで評価される3つの強み、ESと面接の例文で整理しました。
営業がきつくて辞めるとき、転職先はどんな選択肢がありますか
営業経験から転職しやすい職種には、同業他社の営業、カスタマーサクセス、マーケティング、企画・事業開発、人事・採用などがあります。営業で培った数値管理・ヒアリング力・提案力は、顧客視点が求められる職種で活きます。辞めるタイミングを含めて、第二新卒市場の動きはベンチャーから転職はできるのか、新卒1社目の経験がどう評価されるかで整理しました。
営業の仕事に向いているか、就活のうちに試す方法はありますか
長期インターンや短期インターンで、営業アシスタント・インサイドセールスの実務に触れる方法があります。インターンの実務が、新卒入社後の仕事と完全に同じではありませんが、1日の進め方・顧客対応の雰囲気を知る材料にはなります。長期インターンの選び方・見極め方は、ベンチャーの長期インターンは意味ないか、就活につながる人の4つの違いで整理しました。
面接で「残業はどれくらいありますか」と聞いても大丈夫ですか
聞いて失礼にはなりません。求人の募集時には、企業は業務内容・労働時間・賃金などの労働条件を明示する必要があります(出典:e-Gov 法令検索 職業安定法(新しいタブで開きます))。また、新卒採用では若者雇用促進法に基づき、求めがあれば月平均所定外労働時間などの「職場情報」の提供対象になる場合があります(本文「2. 新卒の初年度・3年以内の離職率」の職場情報の提供制度を参照)。聞き方としては「月の平均残業時間を教えてください」「繁忙期と閑散期で、残業時間はどれくらい違いますか」のように具体的な数字で聞くと、答えも具体的に返ってきやすくなります。
まとめ
ベンチャーの新卒営業が「きつい」と言われる中身は、ノルマ・新規開拓の量・育成の薄さ・個人成績の可視化・残業の多さ・失注のストレスの6つに分かれます。「全部きつい」とまとめて判断するのではなく、自分がどこに不安を感じているかを分けると、避ける企業の範囲も、入社前に確認する質問も具体化できます。
- 「きつい」の中身は6分類に分けて、自分の不安の正体を特定する
- 業界・事業モデル(人材・不動産・広告の飛び込み中心か、SaaS・技術商材のインサイドセールス中心か)で日常の負荷は別物になる
- 入社前に見極めるには、固定残業代の内訳・新卒の離職率・1日の予定・直近1年の退職者数の4点を聞く
- 身につく力は、ヒアリング・仮説立案・数値管理・プレゼン・関係構築の5つ。他職種への転職や起業のベースにもなる
- 入社後に合わないと感じたら、2週間の自己調整→部署異動の相談→転職という順で選択肢がある
次のアクションとしては、ベンチャー適性診断(14問・約3分)で自分の志向の方向を言語化してから、候補企業の採用ページを3社読み比べると、違いが見えやすくなります。合わせて、ベンチャーで成長できるのは本当か、新卒が伸びる会社と伸びない会社の差で、成長の中身を「任される範囲」と「フィードバックの量」に分けた整理を確認しておくと、「きつさ」と「成長」のトレードオフを自分で判断できるようになります。
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ベンチャールーキーズ編集部
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